コンピュータによる設計加工に関するソフトウェアには、CADとCAE、CAMなどがあり、欠かすことができないツールとして知られています。
その中でもCADとCAEは、デジタル技術を駆使して製品の設計や解析を行う点で共通していますが、それぞれの役割や目的には違いがあります。
具体的にどのような違いがあるのか知りたい方も多いと思うので、この記事ではCADとCAEがどのように異なるのかについて詳しく紹介します。
また、おすすめのCAEのソフトについてや、安く導入する方法についても紹介しているので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
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CADとCAEの違いと関連性
CAD(Computer-Aided Design)とCAE(Computer-Aided Engineering)は、異なる目的を持つツールとなり、明確に違いがあります。
簡単に説明すると、CADは製品や構造物の設計図を作成するためのソフトウェアであり、設計の基本形を描き出す役割を担っています。
一方、CAEはその設計を解析し、強度や性能、最適化を評価するためのツールです。これらの機能が異なるため、どちらのソフトを導入すべきか、目的に応じて慎重に検討しなければなりません。
下記の見出しでは、CADとCAEの違いを理解するために、それぞれを詳しく紹介しているので、そちらも参考にしてください。
CADとは
CAD(Computer-Aided Design)とは、コンピュータ上で効率的に設計作業を行うためのツールです。
CADを活用することにより、紙での手書き製図では困難だった修正や作業分担が簡単になるため、現在の設計では多くのケースでCADが使用されるシーンが増えています。
また、CADの場合は、設計図に関してはデータ形式で保存され、メールやクラウドを通じて複数人で共有することができるため、共同作業も効率的に行うことが可能です。
そして、CADには平面設計用の2DCADと、立体設計用の3DCADが存在し、使用目的に応じて使い分けることもできます。その他にも特定の業種のみに活用できるCADも存在するなど、さまざまな用途で活用されています。
有料のCADソフトに興味がある方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
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CAEとは
CAE(Computer Aided Engineering)は、製品の設計段階でシミュレーションを行い、問題点を解析するためのツールです。
製造業では、製品が求められる性能を満たすかどうかを確認するために、実際の環境で試験を行いますが、CAEではこれをコンピュータ上で行うことができます。
従来は、試作品を作り物理的なテストを行う必要がありましたが、CAEを活用することで試作品を作らなくても条件を設定して力学解析や熱伝導解析などのシミュレーションが可能になります。万が一問題が発生した場合、どこを改善すべきかが明確になるので効率よく解析できるのが特徴です。
CAEの解析には、大きく分けると構造解析や伝熱解析、音響解析、電磁波解析などがあり、解析内容に応じて使用するソフトウェアが異なるので、業務に適したCAEを活用するのがおすすめです。
ここまでCAEについて紹介しましたが、CADは主に設計の部分で活用するソフトウェアであり、CAEは設計に問題がないか検証をするソフトウェアとなりますので、両者には明確な違いがあります。CADだけの活用でも設計を可能にしますが、製品のテストを効率的かつ高精度に行いたい場合には、CAEが必要不可欠なツールと言えるでしょう。
CADとCAEの関連性
CADとCAEは密接に関連しています。一般的には、製品の設計がCADで行われ、その設計データをCAEに取り込み、シミュレーションや解析が行われます。
解析結果によって設計の改善が必要であれば、CADで設計を修正し、その後再びCAEで解析を行うという流れが繰り返されます。
このように、CADでの設計とCAEでの解析は相互に補完し合いながら進められるため、両者の連携が製品開発において非常に重要です。
おすすめのCAEソフト4選
ここからは、CAEのソフトウェアの導入を検討されている方向けに、おすすめのソフトを4選紹介します。
Fusion 360
公式サイト:
https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
Fusion 360は、高機能の3DCAD、CAM、CAEの全てのツールを使用できるソフトウェアです。
従来、全ての機能が揃えられたソフトウェアを導入する際には、高額な費用が必要でしたが、Fusion 360なら年間1ユーザーあたり96,800円で使用可能です。リーズナブルなソフトウェアとしても知られており、多くの企業が導入しています。
Fusion 360は、高機能な3D CADとCAEを統合した製品として、設計者から注目を集めていますが、特にCAE解析を容易に推進できる点で評価が高く、クラウドベースで動作するため、使用するPCのスペックに依存せず快適に利用できます。
複雑な設計と解析を効率的に行える環境を提供してくれるため、多くの設計者から人気があるソフトウェアとなっています。
ANSYS Discovery Live
公式サイト:
https://www.ansys.com/ja-jp/products/3d-design/ansys-discovery
ANSYS Discovery Liveは、3DCAD設計とCAE解析ができるソフトウェアです。両方とも対応していることから、別々でソフトウェアを導入する必要がない点も嬉しいポイントとなっています。
ANSYS Discovery Liveの特徴は、3D設計したCADモデルを、CAEで高速解析できる点です。一般的なCAEとは異なり、瞬時に解析結果を出せることから、効率的な解析が行えるだけでなく、初期設計の開発コストも抑えられるメリットがあります。
ANSYS Discovery Liveで対応している解析は、構造解析、伝熱解析、流体解析、電磁界など幅広く対応しているのも魅力的な点となっています。
Ansys Mechanical
公式サイト:
https://www.ansys.com/ja-jp/products/structures/ansys-mechanical
Ansys Mechanicalは、エンジニアが製品の設計においてさまざまな物理的影響をシミュレートし、解析するためのCAEソフトです。
このソフトウェアは、構造解析(静的、動的)、熱解析、振動解析、疲労解析など、幅広い機能に対応しており、複雑な材料特性や接触問題にも対応していることが特徴です。
これらの機能により、信頼性の高い結果を得ることが可能となるため、自動車業界や航空業界にも活用されているCAEソフトとなっています。
さらに、直感的なユーザーインターフェースにより、使いやすさにもこだわっている点も特徴の一つです。設計者はリアルな製品の動作や性能を予測しながら進められるため、開発の効率化にもつながるメリットがあります。
Ansys Mechanicalは、構造解析と伝熱解析機能を全て備えたパッケージとなっているため、これらの機能が揃えられた製品をお探しの方は、Ansys Mechanicalの導入がおすすめです。
Inventor Nastran
公式サイト:
https://www.autodesk.com/jp/products/inventor-nastran/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
Inventor Nastranは、Fusion 360よりもプロフェッショナル向けに開発されたCAEソフトです。
機能としては、設計したものが実際に使われたときにどのように動いたり壊れたりするかを予測するためのソフトウェアです。特に力がかかったときの反応や、熱が加わったときの変化をシミュレーションします。
例えば、橋や自動車の部品がどれくらいの重さに耐えられるか、どういう力で壊れるのかといった点を簡単に調べられるのが特徴であり、設計を改良するために役立つツールとして多くの製造業界で導入されています。
対応しているCAE解析機能としては幅広くあり、自動落下試験、線形静的応力、固有値解析、応答スペクトル解析、線形座屈解析、静的疲労解析、衝撃解析、周波数応答などの解析が行えます。
幅広く対応していることから、金属やゴム、軟部組織など多様な材料を1回のシミュレーションでモデル化できる高度な材料解析機能を持っていますし、フレームジェネレーターを使用して、梁やスライド、摩擦、溶接など、異なるパーツの接触を高精度にシミュレートすることも可能です。
これによって複雑な構造や接触部分の動作をリアルに再現することができるため、設計の信頼性をより高められるメリットがあります。
逆にデメリットとしては、価格面があげられます。Fusion 360は10万円程度なのに対し、Inventor Nastranは年間50万円程度が必要なので、負担を減らすためにも補助金を活用した導入がおすすめです。
CAEソフトにはIT導入補助金を活用できる?
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務の効率化や売り上げアップをサポートするために創設された補助金です。
ITツールの導入に活用できる補助金はいくつかありますが、その中でもIT導入補助金は補助額の規模も比較的大きく設定されており、半額でITツールを導入できることから幅広い業界に人気を集めています。
CADソフトはIT導入補助金に対応していますが、CAEについても同じく申請することができます。
CAEソフトは、ソフトウェアの購入費とクラウド利用費(最大2年分)が対象となりますので、導入にかかるコストを大幅に抑えられるのがメリットです。
IT導入補助金は年間を通して申請が可能となっており、活用しやすい補助金の一つとなっておりますので、CAEソフトのコストをできる限り抑えて導入したいと考えている方は、IT導入補助金の活用を検討してください。
IT導入補助金を利用したCADの導入方法につきましては、以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
日本ではさまざまな業界でITツールの導入が進んでいます。ITツールを導入することで、これまでよりも業務効率化を図れたり、生産性向上につながったりと幅広いメリットが得られます。 ITツールといってもさまざまな種類がありますが、その中で[…]
まとめ
今回は、CADとCAEの違いを解説しました。CADは製品や構造物の設計を行うためのツールであり、設計図を作成する際に活用します。一方、CAEはその設計図をもとにシミュレーションを行い、強度や性能を解析し、問題点を見つけ出すためのツールです。両者には明確な違いがありますが、どちらも製品設計や製品開発には欠かすことができないツールです。
本記事ではおすすめのCAEソフトについても紹介していますが、中にはCADソフトとCAEソフトのどちらの機能も備わっているものが存在していますので、設計や開発においてどちらの機能も必要と感じている方は、今回紹介したおすすめのソフトも参考にしながら選んでみてください。
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