CADソフトの勘定科目とは?CADの会計処理の方法を徹底解説!

  • 2023年10月26日
  • 2024年3月26日
  • コラム

CADの会計処理について

現在では業務にさまざまなソフトウェアを活用するのが当たり前の世の中となっており、設計においてもCADなどのソフトウェアの活用が一般的になりつつあります。

ソフトウェアを活用するにあたって、最も悩む項目としては会計処理ではないでしょうか。実際にCADはどのような勘定科目にすればいいのか悩んでいる方も多いでしょう。

そこで今回は、CAD(ソフトウェア)の勘定科目について、ソフトウェアの種類、金額別で詳しく紹介します。


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CADのソフトウェアの勘定科目とは?

CADの決算処理について

建物や備品などに関しては、勘定科目がイメージしやすく困ることも少ないですが、CADを含むソフトウェアは勘定科目がイメージしづらいと感じる方も多いでしょう。

そもそもソフトウェアは、辞書などで調べると下記のような説明がされています。

・機器類を用いて行う物事の、情報・理論など無形の部分。
・コンピューターの、処理の手順を示すプログラムの総称。

上記のように無形の部分になるため、「無形固定資産」として計上するケースもあります。ただし、金額やソフトウェアのタイプによっても異なるため、CADの金額やタイプによって変わることを把握しておきましょう。

CAD(ソフトウェア)の勘定科目に法的な指示はない

CADなどのソフトウェアの勘定科目については、実は法的に明確なルールが決められていません。この購入費用はこのように分類するなどといった明確な指示がないため、どの勘定科目に分類するかは極端に言えばそれぞれの事業者にとってわかりやすいものを裁量で決めることが可能です。

しかし、注意点としては企業会計原則には「継続性の原則」があるため、一度勘定科目を決めたら変更しないことです。

むやみやたらに変更すると継続した経営状況の把握が難しくなりますので、注意して会計処理を行いましょう。

ソフトウェアは一般的に「消耗品費」

CADにかかわらずソフトウェアの勘定科目は、一般的に「消耗品費」に分けられることが多くなります。

ただし、消耗品費という勘定科目で処理する場合は、購入したソフトウェアが10万円以下でなければなりません。

CADの場合は10万円以上となることが多くなりますので、10万円を超える場合は次で説明する勘定科目で処理しましょう。

CADは無形固定資産に該当するケースが多い

10万円を超えるCADのソフトウェアの場合は、「無形固定資産」として経費計上し、減価償却の対象になります。

ただし、あくまでもインストールをするタイプのCADの場合のみです。クラウド型のCADは資産計上には当てはまらないので、CADの金額だけではなく種類によっても異なることを把握しておきましょう。

インストール型とクラウド型における勘定科目の違いは次の見出しから詳しく紹介しているのでそちらを参考にしてください。

CADをインストールして使う際の勘定科目とは?

インストール型のCAD

インストール型のCADを導入する場合の一般的な勘定科目について紹介します。金額などによっても勘定科目が変わるケースがあるため、その点も詳しく説明します。

インストール型の10万円未満のCADは「消耗品費」

CADがインストール型であり、10万円未満の場合は「消耗品費」として計上することが一般的です。

イントール型はWeb上で直接購入するケースや、店頭で購入するケースの二通りがありますが、基本的にはどちらを選んでも「消耗品費」として計上するのが一般的となります。

注意点としては、取得価額にはCADの購入費だけではなく、カスタマイズや設定をしてもらうなどの人件費も含まれることです。

それらの費用も含めて10万円以上となった場合は、消耗品費として計上することはないので注意しましょう。

インストールの料金が10万円以上の場合は?

インストール型で10万円以上のCADについては、ソフトウェア等の勘定科目を用いて無形固定資産として計上します。また、その際には減価償却処理も必要になります。

ただし、条件によっては特例を活用することができるため、そちらについても詳しく紹介します。

まず、1つ目の特例は「少額減価償却資産の特例」であり、中小企業が活用できる制度の一つです。

少額減価償却資産の特例は、中小企業等が取得価額30万円いかの減価償却資産を取得した場合、取得価額相当額を損金の額に算入できる税制措置になります。

活用する際には下記の適用条件に含まれていなければならないため、下記項目も参考にしてください。

・青色申告法人であること(個人事業主もOK)
・常時使用する従業員数が500人以下
・資本金が1億円以下
・適用除外事業者に該当しない

上記に当てはまる場合は少額減価償却資産の特例を活用することができ、経費計上が認められます。

なお、少額減価償却資産の特例は従来であれば2022年3月31日まででしたが、現在は適用期限が2024年3月31日までに延長し、現在でも活用できるようになっています。

2つ目は「一括償却資産」の処理であり、10万円以上20万円未満のソフトウェアを購入した場合に処理できる制度の一つです。また、一括償却資産は3年で均等償却処理が可能となります。

活用するための特別な条件等もないため、比較的活用しやすいのが特徴です。


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インストール型CADの仕訳方法

ここからはインストール型のCADを購入した場合の仕訳方法について詳しく紹介します。金額、特例別で紹介しているので参考にしてください。

<10万円未満のインストール型CADソフトウェア>

借方 貸方
消耗品費 50,000円 普通預金 50,000円

<10万円以上のインストール型CADソフトウェア>

借方 貸方
ソフトウェア 200,000円 普通預金 200,000円

<上記内容を年度末に減価償却した金額>

借方 貸方
減価償却費 40,000円 ソフトウェア 40,000円

※減価償却費は200,000円×0.2としました

<少額減価償却資産の特例>

借方 貸方
消耗品費 200,000円 普通預金 200,000円

<15万円のCADを現金で購入し、一括償却を行った場合>

借方 貸方
一括償却資産 150,000円 現金 150,000円

また、決算の際に一括償却を行った時点では借方に1年分の減価償却費(15万円×1/3=50,000円、貸方に一括償却資産を記載します。仕訳方法は下記をご覧ください。

借方 貸方
減価償却費 50,000円 一括償却資産 50,000円

クラウド型のCADを使う場合の勘定科目とは?

クラウド型のCAD

CADを購入する場合、インストール型ではなくクラウド型の利用を検討されている企業も多いでしょう。

CADといっても幅広い種類のソフトウェアがあり、クラウド型は買い切りではなく毎月もしくは年間で利用料金が発生するサービスとなります。

CADをクラウド型で購入する場合、インストール型とは異なる勘定項目の仕訳になります。ここではクラウド型に焦点を当てて紹介します。

クラウド型は「通信費」として計上

クラウド型のCADを利用する場合は、勘定項目の仕訳において難しい処理は必要ありません。クラウド型はインターネット環境を使用する形に近いため、モノを購入するケースと同じにはなりません。

そのため、無形固定資産として計上することはなく、一般的には「通信費」として計上するようにします。

クラウド型のCADを利用する場合の仕訳方法

クラウド型の場合は、ソフトウェアにかかる料金のすべてを全額経費計上できます。クラウド型は毎月の利用料が発生するケースがほとんどのため、基本的には通信費として下記のように毎月計上する必要があります。

借方 貸方
通信費 50,000円 普通預金 50,000円

CAD(ソフトウェア)のサポートやバージョンアップについて

CADを購入した場合は、ソフトウェアの料金だけではなく、サポート等と受けるケースも少なくありません。

サポートが無料の場合は特に気にする内容ではありませんが、初期設定や導入支援などで料金が発生する場合、サポート料金も取得価額に加えるのが適切となります。

その他の料金については支払手数料等の勘定科目を使用して計上しましょう。

勘定科目のポイント

勘定科目について

勘定科目には必ずしもこの勘定科目にしなければならないといったルールがなく、自由に設定することが可能です。この自由さが多くの人を悩ませる原因の一つでもあるため、最後に勘定科目のポイントと注意点について紹介します。

勘定科目は自由に選べるが一般的なものを使用する

勘定科目は記録する側が自由に設定することができ、既存のものでなくても新しい勘定科目を作成することも可能です。

しかし、財務諸表に関しては外部に提示することも多くなるため、独自の勘定科目ばかりを使用していると社内で把握できなくなりますし、外部の人が見ても理解することが難しくなります。

そのため、明確なルールはないものの、誰が見てもわかるような一般的な勘定科目を活用するのがおすすめです。

CADなどのソフトウェアであれば「ソフトウェア」や「消耗品費」「通信費」とするのが一般的になりますので、それらを選んでいれば問題となることはありませんし、誰が見ても把握しやすいでしょう。

一貫性をもって勘定科目を使用する

勘定科目は一度選択した場合、企業会計の「継続性の原則」に基づき、一貫性をもって使用する必要があります。毎回変更されてしまうと経費の動きを正確に把握できなくなり、デメリットしかありません。基本的には変更せず、継続的に使用し続けることが大切です。

ただし、期中に業務形態が変更された等の場合は、例外的に変更することも可能です。このような内容以外は変更がないように注意しましょう。

まとめ

CAD(ソフトウェア)の勘定科目は、インストール型かクラウド型によっても大きく会計処理が異なります。購入した金額によっても異なりますが、インストール型であれば一般的に「消耗品費」もしくは「資産計上」することになります。

クラウド型は複雑な会計処理が必要なく、一般的には「通信費」として全額経費計上ができます。

また、10万円以上のCADについては、「少額減価償却資産の特例」や「一括償却資産」などの制度も活用することができます。

今回紹介したように幅広い会計処理の方法がありますが、それぞれの事業者で購入するCADの種類も異なるので、自社に合う方法でソフトウェアの会計処理を行ってください。


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