外構の仕事は、提案が通るかどうかで決まります。そして施主は図面を読めません。平面図で説明しても決まらず、3Dパースを見せると決まる——外構の現場ではこれが繰り返されます。
だから外構CADを選ぶ基準は、機能の多さではありません。現地調査から初回提案までを、どれだけ短くできるかです。この記事では、その観点で製品を整理し、公表価格まで示します。
結論:見るのは3点だけ
| 見る点 | なぜ効くか | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| ① 素材の量 | 植栽・舗装・フェンス・カーポートが揃っていれば、一から作らずに済む | 自社がよく使う部材があるか |
| ② パースまでの速さ | 提案の回数が増やせる。修正にも即応できる | 体験版で直近の1件を通してみる |
| ③ 修正のしやすさ | 外構は打ち合わせで何度も変わる | 植栽を1本移動するのに何手かかるか |
②が決め手です。カタログでは分かりません。現地調査を終えた実際の案件データで、初回提案までを一度通してみてください。
外構CADと建築CADの違い
同じ図面を描く道具でも、備わっているものが違います。
| 外構向け | 建築向け | |
|---|---|---|
| 持っている素材 | 植栽、舗装、フェンス、カーポート、門扉、照明 | 壁、床、建具、構造部材 |
| 得意な範囲 | 敷地全体の計画、外からの見え方 | 建物本体の設計 |
| 向く会社 | 外構・エクステリア工事が中心 | 建物の設計が中心 |
外構が業務の中心なら、素材が揃っている製品のほうが作図が速くなります。建物まで含めて扱う場合は、建築向けの製品で外構も描くという選択もあります。建築側の選び方は建築CADソフト比較一覧|意匠・構造・設備の選び方にまとめています。
外構CADで変わる3つのこと
完成形を先に見せられる
植栽の成長後の姿、舗装の質感、フェンスの高さ。言葉で説明しても伝わらないものが、3Dなら一目で伝わります。施主が判断できる材料を出せることが、契約までの時間を縮めます。
照明の見え方を確認できる
外構では夜の見え方が提案の決め手になることがあります。昼のパースだけでは伝わらない価値を示せます。
その場で直せる
打ち合わせ中に「この木をもう少し左に」と言われたとき、その場で直して見せられるかで印象が変わります。持ち帰って次回に回すと、それだけ決定が遅れます。
候補になる製品と公表価格
公表価格は各社が自社サイトで公開している金額です(2026年9月15日確認)。当社のご提案価格ではありません。
| 製品 | 向く場面 | 公表価格 |
|---|---|---|
| SketchUp Pro Trimble | 提案スピード重視。素材ライブラリが豊富で、修正も速い | 85,830円/年 税抜 |
| Vectorworks Design Suite ベクターワークスジャパン | 建築・内装・ランドスケープを1本で。図面の精度も確保 | 676,500円 税込・買切り |
| Vectorworks Fundamentals ベクターワークスジャパン | まず3D提案から始める場合 | 393,800円 税込・買切り |
| 3Dインテリア デザイナーNeo メガソフト | 内装と合わせて提案する場合。価格が抑えめ | 96,800円 税込・買切り |
| AutoCAD Autodesk | 施工図と、他社とのDWGのやり取り | 84,700円/年 税抜 |
| Jw_cad | 2Dの平面図のみ。費用をかけずに始める | 無償 |
Vectorworksについて:メーカーのベクターワークスジャパン(旧:エーアンドエー)は、スタンドアロン版の永続ライセンスの販売を2026年末で終了すると発表しています(2026年4月15日発表)。2027年以降は、サブスクリプション(年間・月間)またはネットワーク版の永続ライセンスでの提供になります。買い切りでの購入をご検討の場合は、時期にご注意ください。
外構に特化した製品としては、RIKCAD(ユニマットリック)やExCADなどもあります。より多くの製品を条件で絞る場合はCAD製品データベース(53製品)で用途に「外構」を指定してください。
TurboCADについて、以前このページでおすすめとして挙げていましたが、日本語版は2024年9月30日でメーカー出荷が終了しています。新規に入手することはできません。詳しい経緯と代替案はTurboCAD|日本語版は販売終了。代替になるDWG互換CADにまとめました。
現地調査から契約までの進め方
| 段階 | やること | CADが効くところ |
|---|---|---|
| 1. 現地調査 | 敷地寸法、高低差、既存物、隣地との関係を測る | 後で図面に起こす前提で、測る順番を固定する |
| 2. 下図の作成 | 実測値から敷地図を起こす | ここの速さが全体を決める |
| 3. プラン作成 | 動線、駐車、植栽、囲いを配置 | 素材ライブラリから配置するだけにする |
| 4. パース作成 | 提案用の3Dを出力 | 昼と夜の2パターンあると決まりやすい |
| 5. 打ち合わせ | その場で修正して見せる | 持ち帰らない |
| 6. 見積・契約 | 数量を拾って積算 | 図面から数量を拾えると転記ミスが減る |
5で持ち帰ると、決定が1週間遅れます。その場で直せる製品かどうかは、契約までの期間に直接効いてきます。
導入でつまずくところ
素材が足りず、結局自分で作っている
自社がよく使うメーカーの部材が入っていないと、案件のたびに作ることになります。体験版の段階で、実際に使う部材があるかを確認してください。
見た目は作れるが、施工図が出せない
提案用の3Dだけでは仕事が終わりません。施工に使う平面図・断面図・数量まで出せるかを確認してください。
協力会社が開けない形式で渡している
施工を外注する場合、相手が開ける形式で渡す必要があります。多くはDWGかDXFです。形式ごとの性格はCADのファイル形式「DXFファイル」とは?CADでの利用方法と対応ソフトを解説で整理しています。
費用と補助金
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の通常枠では、事務局に登録されたITツールのソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費が補助対象になります。補助率は原則1/2、補助額は下限5万円・上限450万円です。
押さえておく点は3つです。
- 対象は登録されたITツールに限られます。検討中の製品名をお知らせいただければ、取扱いと登録の可否を確認してご案内します。
- ハードウェアは通常枠では原則対象外です。3Dを扱うPCは別予算で考えてください。
- 交付決定前の発注・契約・支払いは対象外です。発注の時期は補助金の交付決定前に発注してしまったら|対象外になる範囲と対処をご覧ください。
価格の相場全体はCADの値段と費用|種類別の価格相場と総額の内訳、制度の詳細はデジタル化・AI導入補助金|CADの導入費用はどこまで下がるかにまとめています。
よくある質問
外構CADと建築CADは何が違いますか
扱う対象と、備わっている素材が違います。外構CADは植栽、舗装、フェンス、カーポート、門扉といったエクステリア部材を素材として持ち、敷地全体の計画に向いています。建築CADは建物本体の設計が中心です。外構が業務の中心なら、素材が揃っている外構向けの製品のほうが作図が速くなります。
無料のCADで外構の提案はできますか
平面図を描くだけなら可能です。ただし外構の提案は3Dパースで決まることが多く、植栽や舗装の素材を一から用意する手間を考えると、有料製品のほうが結果的に早くなります。まず無料で始めて、提案が通らない理由が見た目にあると分かってから切り替える進め方でも構いません。
提案用のパースはどのくらいの時間で作れますか
製品と習熟度によりますが、素材が揃っている製品なら、現地調査を終えた図面から数時間で初回提案用のパースを作ることは可能です。判断の基準は「現地調査から初回提案まで何日かかるか」です。体験版で直近の1件を実際に通してみるのが確実です。
外構CADの導入に補助金は使えますか
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)の通常枠で、事務局に登録されたITツールのソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)が補助対象になり得ます。補助率は原則1/2、補助額は下限5万円・上限450万円です。検討中の製品名をお知らせいただければ、取扱いと登録の可否を確認してご案内します。なお審査があり、採択を保証するものではありません。
TurboCADは外構に使えますか
TurboCADの日本語版は2024年9月30日でメーカー出荷が終了しており、新規に入手することはできません。すでにお使いの場合はライセンス自体は使えますが、新しいOSへの対応は期待できないため、移行時期を検討しておくことをおすすめします。
なお、住宅の外構ではなく造園・緑化工事が中心の場合、見るべき点が変わります。植栽の表現と数量拾い、公共の公園工事におけるSXF納品については造園CADの選び方|植栽の数量拾いと、公共工事のSXF納品にまとめています。
まとめ
外構CADは、素材の量・パースまでの速さ・修正のしやすさの3点で選んでください。機能の多さは、この3つに効かなければ提案の数を増やしません。
判断は体験版で決まります。現地調査を終えた実際の案件データで、初回提案までを一度通してみる。カタログを見比べるより、これが確実です。
そして打ち合わせで持ち帰らずにその場で直せるか。ここが契約までの期間に直接効いてきます。
CADジャンクションの導入支援について
CADジャンクションは、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)のIT導入支援事業者として、CADの選定から導入・定着までをご支援しています。
補助金を活用する場合、交付申請はお客様ご自身のGビズIDで行っていただく必要があります。当社は、対象となるITツールのご提案、必要書類のご案内、申請手順のご説明、導入後の設定・研修までを伴走支援します。
補助額は申請枠・事業者規模・補助対象経費によって変わります。通常枠の場合、補助率は原則1/2(補助上限450万円)です。審査があり、採択を保証するものではありません。
制度内容は変更される場合があります。最新の要件・補助率・締切はデジタル化・AI導入補助金 事務局の公式サイトで必ずご確認ください。
Vectorworksを候補に入れる場合は、Vectorworksの価格【2026年9月時点】|永続とサブスクの分かれ目でグレード別の金額と、永続・サブスクの分かれ目を確認できます。