近年、さまざまな製品開発の設計にはCADソフトが活用されるようになっています。手書きと比べて使い勝手が良く、作業の効率化にもつながるなど欠かすことができないソフトウェアです。
そんなCADソフトですが、いざ導入しようと思っても幅広い種類があり、どれを選べばいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、CADソフトの中でも世界シェアを取っている人気の「Mastercam」についてご紹介します。
Mastercamを導入するにあたって、詳細情報やメリット、活用事例などを知りたい方はぜひ参考にしてください。
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Mastercamとは?
「Mastercam」とは、全世界で30万ライセンス以上のインストール実績を誇る世界基準のCADソフトであり、日本国内でも一般企業や教育機関など数多くのユーザーが導入しています。
また、MastercamはCADとCAMの機能を兼ね備えたソフトウェアです。新たにCAMのソフトウェアを導入しなくてよい点もMastercamが幅広い業界で活用されている理由と言えます。
推奨スペック
Mastercamを導入する際にチェックしておきたい項目が推奨スペックです。下記表のスペックであればMastercamを快適に活用できるので、導入前には必ずチェックしておきましょう。
項目 | 推奨スペック |
OS | Windows10(Ver 20H2 以降)64bit Professional |
CPU | インテルi7またはXeon® E3、Kaby Lake以降、3.2GHz以上 |
メモリ | 32GB以上 |
グラフィックボード | NVIDIA Quadro® または AMD FirePro™ / Radeon Pro カード (4GB以上) の専用メモリー付き) |
モニター | 1920×1080解像度、デュアルモニター |
ハードディスク | 20GBの空き容量があるNVMeドライブ |
3Dマウス | 3Dconnexion 3D マウス |
上記が推奨スペックとなりますが、最低限必要なスペックについても下記の表で記載します。
項目 | 最低限必要なスペック |
OS | Windows10またはWindows 11 64bit Professional |
CPU | インテル® またはAMD 64bitプロセッサ、2.4 GHz以上 |
メモリ | 8 GB |
グラフィックボード | OpenGL 3.2 および OpenCL 1.2 ( 1 GB のメモリ)オンボード不可 |
モニター | 1920×1080解像度 |
ハードディスク | 少なくとも20 GBの空き容量とUSB 2.0リーダー(インストールメディア用)を備えたソリッドステートドライブ(SSD) |
3Dマウス | 3ボタンスクロールマウス |
上記表に記載されている内容が最低限必要なスペックとなりますが、あくまでも最低限必要なスペックとなりますので、推奨環境を整えられるのであれば、推奨スペックの項目に記載されている環境を整えましょう。
機能
Mastercamには幅広い機能を備えています。下記がMastercamの中でも特に優秀な機能となっておりますので、他の製品と比較する際に参考にしてみてください。
・さまざまなCADデータ対応
・ソリッド編集機能
・ダイナミックモーション
・フィルタ機能
・バレル工具完全対応の5軸CAM機能
・バリ取り機能
・3D工具対応の施盤CAM機能
・施盤CAM機能のダイナミックモーション
さまざまなCADデータ対応
Mastercamなら幅広いCADデータに対応しているので安心です。DXFやIGES、Parasolidなどメジャーなデータ形式はもちろん、SOLIDWORKSやInventorなどの3次元CADデータ、さらにはCATIA、NX、CreoといったハイエンドCADのデータも取り扱えます。
DXFファイルについてはこちらの記事で詳しく解説しています
ソリッド編集機能
Mastercamのソリッド編集機能は、他のソフトで作成された履歴のない3次元データでも簡単に修正することが可能であり、工程ごとに必要な形状をすぐに作成できます。
ダイナミックモーション
ダイナミックモーションはMastercamが誇る新しい荒取り加工のテクノロジーです。ダイナミックモーションを活用すれば、工具負担を一定以下にでき、加工条件を落とすことなく加工効率を大幅に上げることが可能です。
フィルタ機能
Mastercamのフィルタ機能は、円弧動作に変換することでプログラムの容量圧縮と加工時間の短縮を実現できます。よく聞く「球体加工をしたら削った結果がミラーボールになった」となる問題も、Mastercamならより球体に近い形で表現できます。
バレル工具完全対応の5軸CAM機能
Mastercamにある「バレル工具完全対応の5軸CAM機能」を活用することで、ボールエンドミルよりも少ない加工時間で同程度の仕上がりが可能になります。
バリ取り機能
Mastercamにあるバリ取り機能を活用すれば、バリ取りしたい部分を選択し、動作方法を選択するだけで簡単にバリ取り動作を作ることが可能です。
3D工具対応の施盤CAM機能
Mastercamには施盤CAM機能も3D工具に対応しているため、奥行き方向の干渉なども正確にチェックすることができます。
施盤CAM機能
施盤CAM機能にもダイナミックモーションと同様の機能が備わっています。工具の負荷を抑えた荒取り加工が可能になるため、工具破損なども防ぐことができます。
Mastercamのメリット
ここまでMastercamの概要について紹介しましたが、導入することで得られるメリットはどのような内容があげられるのでしょうか。ここでは導入メリットについて紹介します。
設計作業の大幅な効率化を実現
手書きの設計では、直線や曲線、線のつなぎなどはトレーニングや長年の経験を積まなければ描くことができません。しかし、Mastercamを導入すれば、作図を支援する機能が多く含まれているため、これまで習得に時間がかかっていた形状だとしても簡単に仕上げることが可能になります。
Mastercamは使いやすさに優れているため、ある程度加工の知識があれば容易に習得ができます。Mastercamを扱える人が増えれば、それだけ作業効率が良くなるため、手書きよりも得られるメリットは大きいと言えるでしょう。
費用対効果を上げられる
MastercamのCADソフトを導入する際には、導入コストが発生します。決して安いものではありませんが、導入コスト以上に価値があるものだと評価されているのがMastercamです。
MastercamにはCAD機能や多軸加工機能があるため、手戻りやミスを最小限に抑えられるメリットがあります。手書きに比べて納品までの時間が短縮されるため、導入コスト以上に費用対効果を得られるのが魅力の一つとなります。
管理のしやすさが変わる
紙に描かれた設計図には保管スペースが必要となりますし、大量に設計図がある場合は探し出すのにも時間がかかります。
一方、Mastercamはすべてデータ化され、紙の保管スペースは一切必要ありません。探し出す際にも検索をすることで瞬時に見つけられるため、設計図の管理がしやすくなる特徴があります。
また、ネットワークによりデータの共有も簡単です。Mastercamなら幅広い形式にも変換できるので、共有に関しても他のCADソフトに比べてしやすいのが特徴です。
品質の安定化につながる
Mastercamは直感的に誰でも操作しやすいのが特徴の一つです。また、描くのが難しい形状だとしても、Mastercamならある程度のスキルがあればすべての人が表現できます。
品質を安定させることで修正なども減らすことができ、より効率的に作業を進められるので、品質の安定化を目指しているならMastercamの導入がおすすめです。
Mastercamの活用事例
ここからは実際にMastercamを導入した企業の事例について見ていきます。活用事例についてチェックしたい方はぜひ参考にしてみてください。
製造業の事例
自動車業界、音響関連の、航空、建機、農業機械などの製造を行っている企業の事例です。
Mastercamを活用した5軸加工の導入で、加工機に任せられる時間が格段に増え、他と並行して作業が可能になりました。複雑な形状も、段取り替えを行うことなく加工でき、3軸加工であれば必要になったであろう治具製作が不要になり、コストや労力、時間の削減につながったと話しています。
また、Mastercamの導入により、対応できる案件数も確実に増え、Mastercamは欠かせない存在となっているようです。
【導入の主な効果】
・コストや労力、時間の削減
・複雑な形状の加工への対応
・段取り替えの減少
町工場の事例
こちらの事例で紹介する企業では、3D-CAD/CAMシステムである 「Mastercam」の導入を、「各作業者の加工ノウハウを蓄積し、共有化する」ためのデジタル化を主眼として決めたそうです。採用した決め手は、「機能面はもちろん、世界的に最も普及しているという実績面」と話されています。
導入効果としては、作業効率が格段に上がったと話されており、「類似形状と比較すると、従来は手作業で1時間かかっていたところ、15分ほどでプログラムの作成が完了するようになった」など、約45分の短縮に成功しています。
その他にも「Mastercamは、ポストプロセッサの柔軟性が非常に高いため、さまざまなメーカーの旋盤機に合せて、ポストをカスタマイズできる点もありがたいと思いました。CAD/CAMを利用した作業の自動化や効率化に取り組みやすくなった」とさまざまな効果を実感していると話されています。
【導入の主な効果】
・生産性向上
・品質の安定化
・脱属人化
Mastercamはどんな人におすすめ?
CADソフトには幅広い種類があり、それぞれで適している人が異なります。その中でもMastercamは幅広く支持されているCADソフトになるため、ほとんどのケースでおすすめですが、まとめると下記に当てはまるケースでMastercamの導入がおすすめです。
・手作業による設計から脱却したい
・時間とコストを削減したい
・加工技術を標準化したい
・難しい形状でも安定かつ正確に加工したい
など、これらの悩みを抱えている人は、Mastercamの導入がおすすめです。特にMastercamは時間とコスト削減に優れたCADソフトとなっていますし、加工技術についても多くの企業から評価されています。世界シェアもNo.1のCADソフトであり、実績もあるのでおすすめです。
Mastercamにかかわらず、CADソフトの導入で悩んでいる場合には、無料体験やデモ体験などを利用すると後悔するリスクを減らすことができますので、まずは気になるCADソフトがあれば体験してみましょう。
まとめ
今回は世界シェアを取っているMastercamについて詳しく紹介しました。数あるCADソフトの中でも人気が高く、多くの企業から活用されているCADソフトです。
特に時間とコスト削減を目指している場合や、加工技術の高いCADソフトをお探しの方はMastercamについて検討してみてください。
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