BIM導入に補助金は使えるか|対象条件と自己負担額

BIMの導入を検討し始めた会社が、最初にぶつかるのは価格です。意匠から積算までを一本で扱おうとすると、ライセンス費用は数十万円から百万円の単位になります。「補助金が使えるらしい」という話は聞くものの、どの制度の話なのか、自社が対象なのか、結局いくら残るのかまでは、調べても出てきません。

この記事は、BIMソフトの費用に対してデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)を使う場合を軸に、対象になる条件、対象にならないもの、そして実際の製品の標準価格で自己負担額がいくらになるかを整理したものです。

BIMとは何か、3D CADと何が違うのかから確認したい場合は、先に3DCADとBIMは何が違うか|設計対象と情報の持ち方をご覧ください。

結論:BIMソフトの費用は補助対象になり得る。ただし「登録された製品」に限られる

先に結論だけ書きます。

  1. BIMソフトのライセンス費用は、通常枠の補助対象経費(ソフトウェア購入費)に該当し得ます。
  2. ただし対象になるのは、事務局にITツールとして登録された製品だけです。市販のBIMソフトが自動的に対象になるわけではありません。
  3. BIMを動かすためのワークステーションは、通常枠では原則対象外です。ここを見落とすと予算計画が狂います。
  4. 補助率は原則1/2、補助額は下限5万円・上限450万円。BIMソフトは単価が高いため、下限を割る心配はほぼありません。

つまり「BIMに補助金は使えるか」の答えは使えるですが、条件は製品側にあります。自社が対象かどうかより先に、導入したい製品が登録されているかを確認するのが早道です。

「BIMの補助金」と呼ばれているものは、ひとつではない

検索で「BIM 補助金」と調べると、性質の違う制度が混ざって出てきます。まず整理します。

制度所管何を支援するかこの記事での扱い
デジタル化・AI導入補助金
(旧:IT導入補助金)
中小企業庁/独立行政法人 中小企業基盤整備機構中小企業・小規模事業者のITツール導入全般。BIMソフトも登録されていれば対象本記事の中心
建築BIM加速化事業国土交通省建築物の設計・施工におけるBIM活用そのもの。対象建築物や事業者要件が細かく定められる別記事で解説。年度ごとに公募の有無・要件が変わるため、最新情報は所管の発表をご確認ください
ものづくり補助金中小企業庁革新的な製品・サービス開発、生産プロセス改善のための設備投資本記事では扱いません
自治体の助成金都道府県・市区町村地域の事業者のDX・設備導入。BIMを名指しする制度もある所在地により異なるため、各自治体の窓口へ

このうち当社がIT導入支援事業者として支援できるのは、デジタル化・AI導入補助金です。以下はこの制度に絞って書きます。

デジタル化・AI導入補助金でBIMを導入する場合の条件

対象になるのは「登録されたITツール」だけ

この制度でいちばん誤解が多いのがここです。補助の対象は、事務局に登録されたITツールに限られます。どれだけ高機能なBIMソフトでも、登録されていなければ補助対象にはなりません。

ただし、これは「登録されていない製品は諦めるしかない」という意味ではありません。登録はIT導入支援事業者が行う手続きで、ご相談をいただいてから進めることもできます。導入したい製品が決まっているなら、まずその製品名をお知らせください。当社で登録状況を確認し、未登録であれば登録の可否と見込みをご案内します。

補助率と補助額の範囲

項目通常枠の内容
補助率原則1/2
補助額の下限5万円
補助額の上限450万円
プロセス要件1プロセス以上で5万〜150万円未満/4プロセス以上で150万〜450万円
対象経費ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、導入関連費

BIMソフトは1ライセンスで数十万円から百万円台になるため、補助額の下限5万円は問題になりません。むしろ意識すべきは上限側と、150万円を超えるときの4プロセス要件です。

クラウド利用料・サブスクリプションは最大2年分

サブスクリプション型の製品は、最大2年分が補助対象になります。1年分だけで申請するより補助対象経費が倍になるため、補助額も倍になります。年額57万円台の製品なら、2年分で114万円台が対象経費、補助額は57万円台という計算です。

買切りライセンスの場合は購入額がそのまま対象経費になります。年数の概念がないため、2年分にはできません。この違いは製品選定そのものに影響しますので、比較の際は「年額×2年」と「買切り価格」を並べて見てください。

ワークステーションは通常枠では原則対象外

BIMは大規模モデルを扱うため、PCの性能が実務に直結します。ところが通常枠では、ハードウェアは原則として補助対象外です。

インボイス枠ではPC・タブレット等が補助率1/2・上限10万円で対象になりますが、これは対象ソフトウェアとセットで導入する場合に限られ、ハードウェア単体では申請できません。BIM用のワークステーションを補助金で賄う計画は、現行制度では成り立たないとお考えください。

PC側にどれだけの性能が要るかはBIM連携CADで設計・施工はどう変わるか|導入の進め方でも触れています。

BIM対応CADの自己負担額(通常枠で試算)

当社が取り扱う登録済みITツールの標準販売価格(税抜)をもとに、通常枠・補助率1/2で計算した概算です。

製品標準販売価格補助対象経費
サブスクは2年分
補助額自己負担
Vectorworks Fundamentals 2026
買切り
393,800円393,800円196,900円196,900円
Vectorworks Architect 2025
買切り
523,600円523,600円261,800円261,800円
Vectorworks DesignSuite 2025
買切り
676,500円676,500円338,250円338,250円
AEC Collection
サブスクリプション
578,600円1,157,200円578,600円578,600円

Vectorworksについて:メーカーのベクターワークスジャパン(旧:エーアンドエー)は、スタンドアロン版の永続ライセンスの販売を2026年末で終了すると発表しています(2026年4月15日発表)。2027年以降は、サブスクリプション(年間・月間)またはネットワーク版の永続ライセンスでの提供になります。買い切りでの購入をご検討の場合は、時期にご注意ください。

いずれも補助額が5万円以上のため、この製品単体でも通常枠に申請できます。

サブスクリプション製品は2年分で計算しています。クラウド利用料・サブスクリプション費用は最大2年分が補助対象になるため、1年分だけで申請するより補助額が大きくなります。

買切りライセンスは購入額がそのまま補助対象経費です。年数の概念がないため、2年分にはできません。

ご確認ください上記は概算のシミュレーションです。実際の補助対象経費と補助額は、交付申請の内容および事務局の審査により決定され、採択を保証するものではありません。補助金は精算払いのため、導入費用は一度お客様がお支払いいただき、実績報告と確定検査を経てから交付されます。交付申請はお客様ご自身のGビズIDで行っていただきます。当社はIT導入支援事業者として、対象となるITツールのご提案と必要書類のご案内を行います。事務局の公式サイトで最新の要件を必ずご確認ください。

補助率は通常枠の原則1/2、補助額の下限は5万円、上限は450万円で計算しています。サブスクリプションはクラウド利用料として最大2年分が補助対象になるため2年分で試算しています。価格は2026年9月時点の標準販売価格(税抜)です。実際のご提案価格は構成・数量によって変わります。

ご確認ください上記は概算のシミュレーションです。実際の補助対象経費と補助額は、交付申請の内容および事務局の審査により決定され、採択を保証するものではありません。補助金は精算払いのため、導入費用は一度お客様がお支払いいただき、実績報告と確定検査を経てから交付されます。交付申請はお客様ご自身のGビズIDで行っていただきます。当社はIT導入支援事業者として、対象となるITツールのご提案と必要書類のご案内を行います。事務局の公式サイトで最新の要件を必ずご確認ください。

補助率は通常枠の原則1/2、補助額の下限は5万円、上限は450万円で計算しています。価格は2026年9月時点の標準販売価格(税抜)です。実際のご提案価格は構成・数量によって変わります。

補助額150万円を超えるときの「4プロセス要件」

通常枠では、補助額150万円以上を申請する場合に4プロセス以上の要件があります。導入するITツールが、業務プロセスをいくつカバーするかという考え方です。

BIMはこの要件と相性が良い分野です。設計、積算、施工管理、維持管理と、ひとつのモデルが複数の業務にまたがるためです。ただし要件を満たすかどうかは、導入するITツールが担う機能によって判断されます。BIMだから自動的に4プロセス、ということではありません。

実務上は、BIMソフト単体で足りない場合に、業務管理・情報共有のツールを組み合わせて構成を作ることがあります。設計データの共有基盤や、原価・見積の管理ツールを併せて導入すると、プロセスの数も、DX・BPRとしての筋も通しやすくなります。見積精度の改善という切り口は【建築業向け】BIM導入で見積精度向上とコスト削減を実現で扱っています。

申請の流れと、どちらが何をするか

この制度はお客様ご自身が申請者です。当社が代わりに申請することはできません。役割分担は次のとおりです。

段階お客様が行うこと当社が行うこと
1. 準備GビズIDプライムの取得取得手順のご案内
2. 構成づくり導入したい業務・課題の共有対象ITツールのご提案、補助額の試算
3. 交付申請ご自身のGビズIDで申請必要書類のご案内、入力内容のご説明
4. 交付決定後発注・契約・支払い導入、初期設定、研修
5. 実績報告報告の提出必要資料のご案内
6. 交付確定検査を経て受領―

交付申請はお客様ご自身のGビズIDで行っていただきます。当社はIT導入支援事業者として、対象となるITツールのご提案、必要書類のご案内、申請手順のご説明、導入後の設定・研修までを伴走します。

制度全体の流れをもう少し詳しく知りたい場合はデジタル化・AI導入補助金|CADの導入費用はどこまで下がるかをご覧ください。Autodesk製品に絞った手順はデジタル化・AI導入補助金でAutodeskを導入する方法と手順にまとめています。

BIM以外も含めた製品の一覧は、CAD製品データベース(53製品)でご確認いただけます。

補助金が使えない・使いにくいケース

導入したい製品が登録されていない

前述のとおり、登録は進められます。ただし締切から逆算した時間は必要です。導入時期が決まっているなら、製品名が固まった時点でご相談ください。

ハードウェアの比重が大きい

「BIMを始めるにあたりワークステーション5台を入れ替えたい」という計画の場合、通常枠ではその費用は対象外です。ソフトウェアの部分だけが対象になります。

すでに支払いを済ませている

交付決定より前に発注・契約・支払いをしたものは対象外です。「先に買ってから申請する」ことはできません。導入スケジュールを組む際に、いちばん影響が出る点です。

資金繰りに余裕がない

精算払いのため、導入時には全額の支払いが必要です。補助金が入るのは実績報告と確定検査の後になります。

よくある質問

BIMソフトそのものが補助金の対象になりますか

対象になり得ます。ただし条件があり、事務局に「ITツール」として登録されている製品であることが必要です。市販のBIMソフトすべてが自動的に対象になるわけではありません。導入を検討している製品名が決まっているなら、それが登録済みかどうかを先に確認するのが最短です。未登録の製品でも、IT導入支援事業者を通じて登録を進められる場合があります。

BIMを動かすためのワークステーションも補助対象になりますか

通常枠では、ハードウェアは原則として補助対象外です。BIMは高い処理性能を求められるため、PCの費用も一緒に見てほしいというご相談は多いのですが、通常枠の対象経費はソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費です。インボイス枠ではPC・タブレット等が補助率1/2・上限10万円で対象になりますが、これは対象ソフトウェアとセットで導入する場合に限られ、ハードウェア単体では申請できません。

補助額150万円を超える申請をしたいのですが、条件はありますか

通常枠では、補助額150万円以上を申請する場合に4プロセス以上の要件があります。BIMは設計・積算・施工管理など複数の業務プロセスにまたがるため、この要件を満たしやすい分野です。ただし、要件を満たすかどうかは導入するITツールが担う機能によって判断されます。構成が固まる前の段階でご相談いただければ、どのプロセスに該当するかを整理してご案内します。

国土交通省のBIM関連の補助事業とは、どちらを使うべきですか

目的が違うため、単純にどちらが得とは言えません。国土交通省が実施してきた建築BIM加速化事業のような制度は、建築物の設計・施工におけるBIM活用そのものを支援するもので、年度ごとに公募の有無や要件が変わります。一方でデジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者のITツール導入を広く対象とする制度です。併用の可否や、同一経費の重複受給の扱いは制度ごとに定めがあるため、検討している事業が決まった段階で個別にご確認ください。

補助金はいつ受け取れますか

精算払いです。交付決定の後にお客様が導入費用を全額お支払いになり、実績報告と確定検査を経てから補助金が交付されます。導入時点では全額の資金が必要になる点は、資金計画を立てるうえで最初に押さえておいてください。

IFCとDWGの受け渡しでつまずく点はIFCとDWGの変換|BIMと2D CADをつなぐときに落ちるものにまとめています。

BIM以外も含めた制度の選び分けはCAD導入で使える補助金の選び方|2つの制度の違いと選び分けにまとめています。

交付決定後の手続きは補助金の実績報告で必要な書類|CADを導入した場合の実務にまとめています。

まとめ

BIMソフトの費用は、デジタル化・AI導入補助金の通常枠で補助対象になり得ます。補助率は原則1/2、上限450万円。ライセンス単価が高いBIMは、補助額の下限を気にする必要がなく、制度と相性の良い分野です。

一方で、対象になるのは登録されたITツールに限られること、ワークステーションは通常枠では原則対象外であること、交付決定前の支払いは対象外であることの3点は、計画段階で必ず押さえてください。この3つを外すと、金額の大きい買い物だけに影響も大きくなります。

建築分野でどのCADを選ぶかから検討している場合は、建築CADの選び方|意匠・構造・設備で変わる要件もあわせてご覧ください。

CADジャンクションの導入支援について

CADジャンクションは、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)のIT導入支援事業者として、CAD・BIMの選定から導入・定着までをご支援しています。

補助金を活用する場合、交付申請はお客様ご自身のGビズIDで行っていただく必要があります。当社は、対象となるITツールのご提案、必要書類のご案内、申請手順のご説明、導入後の設定・研修までを伴走支援します。

補助額は申請枠・事業者規模・補助対象経費によって変わります。通常枠の場合、補助率は原則1/2(補助上限450万円)です。審査があり、採択を保証するものではありません。

ご検討中の製品が決まっている場合も、まだ決まっていない場合も、お見積り・補助金の対象可否のご相談からお気軽にお問い合わせください。

制度内容は変更される場合があります。最新の要件・補助率・締切はデジタル化・AI導入補助金 事務局の公式サイトで必ずご確認ください。