近年、製造業や建設業を中心に、設計業務の効率化を目的としてCADの導入が進んでいます。従来の手書き図面に比べて、修正の容易さやデータ共有の速さなど数多くのメリットを獲得することが可能です。また、現在は3DCADも登場しており、三次元化による設計の可視化を行うことで、関係者や顧客とのイメージ共有がしやすい点も注目されている理由のひとつです。
このように、CADには数多くのメリットがありますが、一方でCADソフトを導入した企業の中には、「社内でCADが定着しない」、「導入しても結局一部の人しか使っていない」といった課題に直面することがあります。実際に企業が新たなツールを活用できるようにするためには、社員一人ひとりが基本的な操作を理解し、業務の中で応用できるレベルまでスキルを高めることが不可欠です。しかし、実際には教育が行き届かないなどが原因で、結果的に使いこなせず宝の持ち腐れとなるケースが後を絶ちません。
そこで、今回はCAD導入後にスムーズに活用されるための社内教育の進め方や、よくある失敗例について詳しく解説しますので、興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
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教育に失敗しがちなケース

はじめに、CAD教育の失敗例について詳しく解説していきます。事前に失敗例を知ることで、社内でCAD教育が失敗しないように体制を整えられます。また、失敗例を見て何が良くないのかを知ることで、その部分を改善した上で社員教育を提供できるので、ぜひ参考にしてください。
OJTに任せきりで体系的な教育がない
OJT任せになってしまい社内教育がうまくいかないことがあります。
OJTとは、On-the-Job Trainingの略称で、仕事を通じた教育を意味する言葉です。頻繁に職場内訓練や実地研修などと略されることがあります。また、企業の中では伝わりやすいようにOJT研修と呼ばれることも少なくありません。
OJTは、職場で実際に働きながら業務への理解を深め、仕事に必要な知識やスキルを習得させる新人教育で行われる代表的な教育方法です。そのため、CADの社内教育を進める際には、OJTによって新人社員は教育を受けるというケースも珍しくありません。
基本的にOJTは上司や先輩がトレーダーとして新入社員などに付き添い、計画されたプログラムに沿って指導を行います。つまり、上司や先輩がその新人の教育を担当することになるため、企業の中には、「OJTで教えれば十分」と考えてしまうケースは少なくありません。
現場で実務を通じて教える方法は即戦力の育成に向いていますが、企業全体が介入せずにOJT任せになっていると体系的な基礎知識が抜け落ちやすく、操作の偏りや誤った使い方が定着するリスクもあります。また、教える側のスキルや教え方にばらつきが出やすいため、全体のスキル底上げに苦戦する場合もあるでしょう。
教育担当が固定されて属人化している
CAD教育においてよく起こりやすい問題のひとつとして、教育担当者の固定化による属人化が挙げられます。簡単にいえば、社内で一部のベテラン社員や詳しい人に教育を一任し、その人の知識ややり方に依存してしまう状態です。
この場合、一見するとその担当者が教えることでスムーズに教育が進むように見えますが、実際にはリスクが非常に多いです。例えば、担当者が不在のときに教育が完全にストップしてしまうという問題があります。休職や退職、異動などが発生すると、教育体制自体が崩れてしまい、継続的な人材育成が困難になります。また、教育内容がその担当者の経験や解釈に偏るため、社内での設計基準や操作手順にばらつきが生まれやすくなります。
さらに、属人化が進むと、ナレッジの共有や標準化が進まず、業務の効率化を妨げる要因にもなります。新人が「人によって教え方や言っていることが違う」と混乱してしまい、学習効率が低下することも少なくありません。教育を属人化させないためには、マニュアルの整備や動画・資料の活用、複数人による教育体制の構築が不可欠です。誰が教えても一定レベルの内容が伝わる仕組みを作ることが、社内全体のスキルの底上げにつながります。
研修が1度きりでフォローアップがない
研修が1度きりでうまくフォローアップがなされていないという点も社内教育がうまくいかない例のひとつです。
例えば、導入時に1度だけ講師を外から招いて研修を行い、その後にフォローアップを全く行わないケースが挙げられます。研修直後は理解できていても時間の経験と共に忘れていき、うまく使いこなせないというような問題が起こるでしょう。また、CADは実際に使わないとスキルが上がらないため、単に研修を受けただけでは業務の中でその知識をうまく活かせないケースもあります。
CAD導入に成功する社内教育の流れ

次に、成功する社内教育の流れについて解説します。CAD導入後、具体的にどのような流れで社内教育を行えばいいのかわからない方は、ぜひ参考にしてください。
導入前準備
CAD導入を成功させるためには、導入前の準備が非常に重要です。導入前の準備と聞くと使用するCADソフトの選定を頭に浮かべる方もいますが、それだけでなく、CADを活用するための社内体制を整備することが成功のカギを握るといっても過言ではないでしょう。
基本的にCADは設計部門や開発部門で活用することになりますが、それぞれの企業でどの部門でCADをどのように活用するのか目的を明確にして、それに合った社内体制を構築しなければなりません。例えば、研修内容を定義するなどです。
その上で教育が必要な社員の能力を客観的に把握して教育計画を立てていくことが重要です。
初期研修
導入前準備の後は、全員に共通した基礎スキルを習得してもらうための初期研修を行うことが重要です。ここでは、ソフトの基本操作、画面構成、ファイル管理、簡単な図面作成など、業務に直結する内容を中心に教える必要があります。
また、外から講師を招く場合には、実務に即したカリキュラムであるかを事前に確認しましょう。社員同士の理解度に差が出ないよう、習熟度に応じたグループ分けや、実技中心の研修を行うことも効果的です。研修後には簡単なテストや課題を実施して、習得度の確認とフィードバックを行うと、定着率が高まります。しかし、この部分に関しては、中小企業の場合、時間を取ることができないことも珍しくないため、それぞれの企業で柔軟に対応するようにしましょう。
定着サポート
初期研修を終えても、それだけでCADが使いこなせるようになるわけではありません。実務を通じて操作を繰り返しながら覚えていく必要があるため、OJTによる定期サポートが重要です。
OJT研修では、日々の業務で出てくる質問やつまずきにすぐ対応できる体制を整えることが求められます。また、FAQの社内共有、チャットツールやナレッジベースの活用、定期的なフォローアップ研修や勉強会の開催も効果的です。また、ベテラン社員の操作例を動画で記録し、共有資料として残すことで、属人化を防ぎつつ継続的な学習も可能になります。
社内でのCADスキル標準化の考え方

CAD導入の効果を最大限に引き出すためには、それぞれの社員がスキルを習得するだけでなく、社内全体で同じレベル・ルールでCADを活用できる状態を目指すことが非常に重要といえます。つまり、CADスキルの標準化が必要というわけです。
例えば、CADスキルが標準化されていないと部署や教育担当者によって操作方法や図面の表現にバラつきが生まれます。これにより、情報のやり取りや図面の修正作業が数多く発生する事態になるため、効率的に作業を進めることができません。
また、CADスキルが標準化されていない場合、教育のやり方が正確に引継ぎされないため、「人によって言っていることが違う」というようなことも起こりやすいでしょう。さらに、教育の属人化が進んでしまう可能性もあります。
このようなリスクを排除するためには、CADスキルの標準化が必要です。例えば、社内のCAD使用ルールの策定や操作マニュアルの整備などが挙げられます。また、教育・研修の仕組みづくりも非常に重要といえるでしょう。
外部教育やマニュアルの活用法

社内教育を成功させるためには、自社のみで社内教育を行うのではなく、専門家の力を借りるのもひとつの手です。例えば、CADソフトを提供する企業や専門の教育機関が行っている初心者向けの講習を利用することで実務的な知識を効率的に学ぶことができます。また、現在は個別指導やオンライン講習などもあるため、そのようなサービスを活用するのもひとつの方法です。
また、マニュアルを整備し活用することで、高品質を保てたり、社内教育がスムーズになったりします。例えば、マニュアルを活用すれば、誰が作業しても一定の品質を保つことが可能です。また、誰が教えても内容が同じになるため、社員全員が共通の知識を持ち、実務に対応できるようになります。
まとめ
今回は、CAD導入前に知っておきたい社内教育の方法やよくある失敗例について解説しました。実際に、企業の中には、これからCADの導入を進めるところも少なくありませんが、今回紹介した方法で導入を進めると社員が効率的にCADの知識を習得することができるようになるでしょう。
CADの導入を検討している企業の中には、導入時のコストに頭を抱えている人もいるのではないでしょうか?実際に企業がCADを導入する場合、ライセンスをいくつも購入しなければならないため、費用負担が大きくなりがちです。そのため、導入時のコストがネックになるケースも少なくありません。
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