点群データと言われても、具体的なイメージが湧かない方も少なくないでしょう。
点群データとは、3Dレーザースキャナーを使って取得した、空間内の無数の点で構成されたデータです。この技術は近年、土木工事や都市計画など、さまざまな分野で活用が広がっています。
本記事では、そもそも点群データとは何かといった概要から、メリット、CAD化するまでの流れについて紹介します。また、点群データをCADデータに変換できるソフトウェアについても3つ紹介しているので、どのようなソフトウェアを選べばいいのかわからない方はぜひ参考にしてください。
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点群データとは
点群データとは、空間内に存在する無数の点(点群)の座標を基に、位置に加えて「色」や「明るさ」といった情報を含むデータ形式です。
このデータは主に3Dレーザースキャナーを用いて取得され、物体や環境の立体的な形状をデジタルで正確に再現することが可能です。点群データは、建物や設備の詳細な3Dモデルを作成するための重要な資料となり、建設業や製造業、自動車産業など、多岐にわたる分野で広く活用されています。
また、点群データは、高い精度で物体を表現できる点も特徴の一つとしてあげられます。ミリメートル単位での精密な計測が可能となり、物体の形状、サイズ、位置情報を正確に把握するため、複雑な構造物の検査や、正確な現場調査が求められるシーンでも役立ちます。
また、リアルタイムでの情報取得が可能となるため、現場での測量や計測といった業務の効率を大幅に向上させることができます。従来よりも迅速かつ正確にデジタル化を実現できることから、今後もますます重要性を増していくと考えられています。
点群データのメリット
点群データのメリットは、大きく分けると下記の3つがあげられます。
業務の効率化につながる
建設現場や工場での改修作業において、現地での計測に手間を感じたことがある方も少なくないでしょう。複雑に絡み合った配管や設備が多数設置された空間を、手作業で正確に測定して図面を作成するのは、非常に困難で時間がかかります。
さらに、計測ミスや不足があれば、再度現場を訪れる必要があるなど、効率的ではありません。
しかし、点群データを活用すれば、こうした複雑な空間の寸法を迅速かつ広範囲にわたって取得できます。また、取得したデータはオフィスに戻ってからもパソコン上で精密に分析・計測できるため、現場に長時間滞在する必要がなくなり、訪問する人員も減らすことができるでしょう。
このように、点群データを活用すれば、現場計測の効率が大幅に良くなり、作業の正確性も確保されることから活用シーンが増えています。
危険な場所での測量も可能になる
危険な場所での測量作業は、労働者にとって大きなリスクを伴います。しかし、点群データの技術を利用すれば、リスクを大幅に減らした測量が可能になります。
点群データを取得する機器によっても異なりますが、中には直接現地に入ることなく、遠隔操作でデータを収集できるものもあります。これにより、従来は人が入る必要があった危険なエリアでも、労災のリスクを減らして安全に測量が行えるのです。
特に危険なエリアでの測量シーンが多いケースでは、点群データを活用することで作業者の安全を確保しながら測量が可能になるので、積極的に活用することがおすすめです。
図面不要で3Dモデルを作成できる
点群データを活用すると、従来必要だった図面がなくても、現場から直接3Dモデルを作成することができます。例えば、元の設計図が紛失するケースや、手書きの古い図面しか残っていない場合、再度図面を作成するには手間やコストがかかります。
しかし、3DCADを使用すれば、現場の情報を正確に点群データとして取得し、それをもとに精密な3Dモデルを作成することができるため、設計図の作成工程を省略できるメリットがあります。
さらに、点群データは現場の形状をデジタルで保存できるため、必要なタイミングで再度3Dモデルを生成したり、将来のメンテナンスや追加工事に活用したりすることも可能です。
点群データを3DCADモデルに変換する手順
点群データをCAD化する場合、データ形式を変換する必要があります。CADで活用する場合は、その手順について把握しておく必要があるので、この見出しでは4つに分けて手順を詳しく紹介します。
➀点群データのノイズ除去と位置合わせ
点群データを効果的に活用するには、データ処理の段階でノイズ除去と位置合わせが必要です。
そもそもノイズとは、スキャン中に発生する不要なデータのことを言い、これを除去することによって精度の高いデータを確保することができます。
一方、位置合わせは複数のスキャン結果を統合する作業のことで、全体像を正確にとらえるために必要です。個別に取得されたデータを正しく組み合わせることで、対象物全体の3Dモデルを作成することが可能になります。
これらの作業は精度の高い点群データ取得のためには欠かすことができない工程となるので、必ず実行する必要があります。
➁点群データをメッシュデータへ変換する
次に必要なステップは、点群データをメッシュデータへ変換することです。メッシュデータは、点群データの各点を頂点とし、それを辺と面で結ぶことで形成される3Dモデルのことです。
これらの作業には専門的なソフトウェアや知識が必要になることがあり、スキルが求められる工程でもあります。
また、メッシュデータへの変換は3Dモデルの精度と表現力を大きく向上させられる工程となっているため、正しいステップで行うことが大切です。
➂サーフェスデータ面を作成する
次のステップは、メッシュデータからサーフェスデータ面を作成することです。サーフェスデータへの変換は、メッシュデータをCADで扱いやすくするためには必要不可欠な工程となるので、必ず変換するようにしましょう。
サーフェスデータは、メッシュデータに比べて滑らかな曲面を表現できるため、より正確な3Dモデルを作成することが可能です。このデータ形式は、特にCADでの編集や解析作業に適しています。
また、複雑な構造を持つ建築物や機械設備などの3Dモデル化では、部分ごとに点群データやメッシュデータを分割して変換する手法が有効です。
➃CADで読み込みをする
最後の手順として必要になるのがCADで読み込みをすることです。
サーフェスデータを作成し、それをCADにインポートすることで操作や編集が可能になり、3Dモデルをもとにした施工管理や、2D図面への変換もスムーズに進めることができます。
点群データをCADデータに変換できるソフトウェア3選
点群データをCADデータに変換するためには、対応しているソフトウェアを活用することがおすすめです。この見出しでは、点群データをCADデータに変換できるおすすめのソフトウェアを3選紹介しているので参考にしてください。
有料CADの導入を考えている方は補助金の利用がおすすめです。ソフトウェア導入に利用できる補助金については、下記の記事にて紹介しています。よろしければご覧ください。
日本ではさまざまな業界でITツールの導入が進んでいます。ITツールを導入することで、これまでよりも業務効率化を図れたり、生産性向上につながったりと幅広いメリットが得られます。 ITツールといってもさまざまな種類がありますが、その中で[…]
Geomagic Solutions
公式サイト:https://ksdl.co.jp/dxc/contents_pr_geomagic.html
Geomagic Solutionsでは、点群データを活用して、CADやCAMといった設計ソフトで使えるデータを作ることができます。これにより、機械や建物などの正確な3Dモデルを作成でき、設計変更が必要になったときにも、履歴が残っているので簡単に編集ができます。
さらに、万が一、3Dモデルの面にズレやねじれが発生しても、専用のツールで調整することが可能なため、問題なく正確な設計ができるようになっています。
また、作成したCADモデルは、元のデータと比較してズレがないかチェックする機能もあり、モデルの精度を確かめながら設計作業を進められる点も特徴の一つとしてあげられます。特に正確な3Dデータを作成したい場合や、スムーズな製造や工事を可能にしたい場合にはおすすめのソフトウェアとなっています。
ScanSurvey Z
公式サイト:https://be-system.co.jp/products/scansurveyz-assistz/
ScanSurvey Zは、点群データ、3D GIS(地理情報システム)、およびExcelとの連携が可能で、開発計画だけでなく、施工管理、保守や修繕にも活用できます。また、点群データをもとに土量計算、地形の勾配メッシュの生成、地形の推定、樹木の検出、そして材積計算など、多岐にわたる分析が可能なソフトウェアでもあります。
さらに、ICT技術を活用したスマート林業やスマート農業といった新しい分野の工事にも対応しており、IT導入補助金の支援対象商品として、導入コストを抑えつつ最新技術を取り入れることができます。
Galaxy-Eye
公式サイト:https://ftr.co.jp/solution/3d-measurement/galaxy-eye/
Galaxy-Eyeは、プラント施設や建築現場での大規模な点群データ処理に対応しているソフトウェアです。
配管、鋼材、ダクトなどを規格に基づいて効率的にCADデータ化できるため、操作時間を大幅に短縮させることができ、作業効率のアップにつながります。
さらに、点群を直接操作してレイアウト検討ができたり、ムービーを作成して進捗管理を行う機能を備えたり、ビューアーを通じて簡単にチーム内で情報共有が可能な点も特徴の一つと言えます。
Galaxy-Eyeは、幅広い分野に対応していますが、その中でも製造ラインや改修工事等に活用されているソフトウェアとなっています。
まとめ
点群データは、現場や建物の精密な3Dモデルを効率的に作成できる重要な技術です。特に、複雑な空間や危険な場所での計測において、そのメリットは大きく、従来の測量方法に比べて作業の効率化や精度向上が期待できるでしょう。
しかし、ソフトウェア選びも大切となりますので、今回紹介したおすすめのソフトウェア3選の内容も参考に、用途や目的に合ったツール選定をすることがおすすめです。
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