3DCADは、3次元データの製図を行うCADのことです。元々、設計図は手書きで行われていましたが、CADソフトの登場により、コンピューター上で製図を行うのが一般的となりました。そして、さらにIT技術が進歩したことによって3Dデータで設計図を表現することができるようになっています。
3Dモデルは360度どの角度からでもオブジェクトを確認することができるため、完成形がイメージしやすいというメリットがあります。また、データの解析や検証、動作確認を事前に行うことができるため、計算ミスの防止や工数の削減を期待することも可能です。
そして、現在3DCADの中には、VR機能が搭載されているものも少なくありません。実際に、VR機能が搭載されている3DCADの概要やおすすめのソフトを確認しておきたいと思われている方もいるのではないでしょうか?
そこで、今回は3DCAD用のVRシステムの概要やおすすめのソフトをご紹介しますので、興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
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3DCADでVR技術が使われている?
現在、3DCADの中には、VR技術が搭載されているものも存在しています。VR機能が搭載されていることで、3Dビューワーを使用して3DCADモデルを360度パノラマで見ることができます。そのため、3DCADデータをパソコン上で表示するよりも数多くのメリットを獲得することができます。
VR機能が搭載された3DCADは、建築業や製造業などで使用されています。VR機能が搭載されることで、完成形をイメージしやすいなどのメリットを獲得することができるので、今後も活用がさらに広がることが予想されるでしょう。
導入を考えている方は補助金の利用がおすすめです。3DCAD用のVRシステムの導入に利用できる補助金については、下記の記事にて紹介しています。よろしければご覧ください。
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事前変換方式と変換不要方式について
3DCAD用のVRシステムには、事前変換方式と変換不要方式の2種類の変換方式があります。どのような変換方式を採用するのかによってメリットとデメリットが変化するため、3DCAD用のVRシステムの導入を検討されている方はチェックするのがおすすめです。
ここでは、事前変換方式と変換不要方式にわけて概要やメリット・デメリットを紹介します。
事前変換方式
事前変換方式は、STEPやParasolidなどの3DCAD用ファイルをVRビューワー用の方式にあらかじめ変換しておくVRシステムのことです。CADファイルをその場で指定し、一定時間をかけて読み込む方式がありますが、それも事前変換方式に含まれます。事前変換方式を採用している国内のシステムとしては、MREALやprono DRなどが有名です。
事前変換方式の最大のメリットは、大規模モデルでもスムーズに閲覧することができるという点です。この方式は、事前にポリゴンリダクションなどの最適化を行うことができます。これにより、CAD本体でデータが巨大すぎてスムーズに視点を回転することができないような大規模モデルでもスムーズに閲覧することが可能です。大規模なプラント全体をスムーズに表示できるのは、事前変換方式のみとなるため、この点がメリットとして挙げられることが多くなります。また、ビューワーソフトウェアの動作においてCADソフトが不要な点もメリットです。事前変換方式はVRシステム単体でデータを閲覧することができるので、ユーザーの利用費用を安価に抑えたり、変換システムとビューワーの1対多数の大規模システムの導入に適していたりします。
一方、事前変換方式のデメリットは、アニメーション表示に対応することができないという点です。事前変換方式は、CADモデルのアニメーションを表示することができないため、それに対応するためには、Unityなどのゲームエンジンで利用できる形に一度変換し、ゲームエンジン上でアニメーション制作をする必要があります。
変換不要方式
変換不要方式とは、3DCADに表示されているモデルデータがそのままVRに表示されるシステムのことです。変換不要方式は、OpenGLインジェクション、またはOpenGLリプレースと呼ばれるものがほとんどのシステムに採用されています。
従来からCAD表示に使用しているデファクトスタンダードの3D描画システムとして「OpenGL」があります。変換不要方式はそれを利用してOpenGLのライブラリファイルのように振る舞い、CADからの3D描画を受け取って横取りし、さらに裏で本体のOpenGLに3D表示データを丸投げしつつVR表示を行っているのが事前変換方式です。これは、IPTといわれたVRシステム時代に広く使用されていた方法になります。海外システムではTechViz XL、国内システムではEasyVRなどが有名です。
変換不要方式のメリットとしては、事前変換が必要ないという点が挙げられます。名前からも想像できるように事前に変換する必要がないため、データをVR上で即時に表示することが可能です。事前変換方式のように一定時間かけてデータを読み込む必要がないので、その点が大きなメリットになります。
また、アニメーションデータを表示することができる点もメリットです。事前変換方式の場合は、アニメーションに対応していないため、それを実現するためにはゲームエンジンで利用できるデータに変換し、ゲームエンジン上でアニメーションを制作する必要があります。一方、変換不要方式はCAD上でアニメーションを作成し、それをVRに表示させられるため、データのやり取りがスムーズで制作工数も削減することが可能です。そのほかにも汎用的なCADファイルをエキスポートすることができないマイナーな3DCADシステムでもVR表示ができるといったメリットも存在します。
逆に、変換不要方式のデメリットは、動作が重たいという点です。CAD上でビューワーに切り替え、視点回転が重いほどの巨大データはVR上でも表示が重たくなります。また、CADの表示も同時に動作するため、同一規模のデータを表示する場合、事前変換方式よりも毎秒1.5倍程度のフレーム数が低下します。そのため、このデメリットを補うためにCPUやグラフィック双方により高いスペックが求められるでしょう。
また、変換不要方式はライセンス価格が高いという点もデメリットです。データを表示するためには必ずCADソフトのライセンスが必要になります。ハイエンドCADではVR表示システムよりもCADライセンス価格のほうが高くなるため、結果的にコスト負担が増大しやすいです。
VR機能搭載の3DCADソフトおすすめ3選
次に、VR機能が搭載されたおすすめの3DCADを紹介します。それぞれの3DCADで特徴などが異なるため、VR機能搭載の3DCADの導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
SolidWorks
公式サイトはこちら:https://www.solidworks.com/ja
SolidWorksは、2019年時点で3次元CAD市場におけるシェア半数以上を占めている有名な3DCADソフトです。豊富な機能や使いやすさが主な特徴で、数多くの企業やオペレーターに選ばれている3DCADソフトといえるでしょう。
SolidWorksには、eDrawings Professionalという機能が搭載されています。eDrawings Professionalは、VRを使用して自分が設計したものを実物大で検証することができる機能です。2020年に正式リリースされた機能で、透明度やフルシーンアンチエイリアシング、アンビエントオクルージョンなどのビジュアル品質がさらに向上しています。これにより、モデルをまるで実物のように表現することが可能になっています。
SolidWorksには、このようにVR機能が搭載されており、それを利用して自分が設計したものを検証することができますが、そのほかにも使いやすいインターフェースやファイル間の参照関係による設計変更反映、フィーチャーベースモデリングなどのさまざまな特徴を持った3DCADです。特に、製造業で使えるVR搭載の3DCADを利用したいという方におすすめできます。
Vectorworks
公式サイトはこちら:https://www.aanda.co.jp/Vectorworks2024/
Vectorworksは、米国のNemetschek Vectorworks社が開発し、国内のA&A株式会社が販売を行っている3DCADソフトです。絵を描くような操作性が主な特徴であり、建築事務所やデザイン事務所などで利用されています。
Vectorworksには、Vectorworks OdysseyというVRビューワーアプリが搭載されています。このアプリを利用することで、作成した3Dモデルを360度パノラマで確認することができます。また、ビューワーはWebブラウザ形式になっているため、パソコンだけでなくスマホやHMDでも見ることが可能です。
Vectorworksは、オールインワン型の汎用BIMCADになるため、2DCADや3DCADとしての機能はもちろんのこと、BIMモデラーや3Dモデラー、プレゼンテーション機能、表計算機能、共有機能などさまざまな機能が搭載されています。そのため、豊富な機能で自由自在に3Dモデルを扱いたいという企業におすすめです。
VRED
公式サイトはこちら:https://www.autodesk.com/jp/products/vred/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
VREDは、CADソフトの開発・提供で有名なAutoDesk社が提供している3DCADソフトです。特に、自動車メーカーで頻繁に使用されているハイエンド3Dビジュアライゼーションソフトで、3DCADデータの読み込みはもちろんのこと、リアルタイムで高画質の3D表示が可能になっています。
VREDを使用すれば、3DCADソフトなどで制作した3Dデータを読み込み、HMD接続で3Dデータをリアルタイム表示することができます。これにより、設計段階でCADデータをチームで評価したり、完成した製品を顧客にPRする目的で活用したりすることが可能です。
VREDは、自動車業界でAliasやMaya、3ds Maxで3Dモデルを制作している方がVRでそのデータを表示したいという方におすすめのソフトです。
まとめ
今回は、3DCAD用のVRシステムの概要や事前変換方式と変換不要方式、VR機能が搭載された3DCADソフトについて紹介しました。VR機能が搭載されている3DCADは、できることが増えるので、企業にさまざまなメリットをもたらします。しかし、ライセンス費用の負担が大きくなりやすいので、その点がネックになっている企業も多いのではないでしょうか?そのような企業は、補助金をうまく活用して費用を抑えて導入するのがおすすめです。
補助金を活用することで通常の半額でCADを導入することができます。
CADジャンクションでは、補助金を活用したVR機能搭載の3DCADの導入支援を実施しています。補助金を利用するためには複雑な手続きを行う必要がありますが、そのような作業を代わりにCADジャンクションが対応するため、スムーズな採択を実現することが可能です。
また、初回相談は無料となっています。「補助金の対象になるの?」「どのツールが自社に合っているの?」など、CADや補助金に関するお悩みやご相談のある方はお気軽にお問い合わせください。