【2024年度最新】建築BIM加速化事業とは?概要から手続きの方法まで徹底解説!

現在、建築業界では建設技能労働者の高齢化が大きな課題となっています。60歳以上の高齢は建設技能労働者の中で79.5万人、その割合は25.7%を占めており、10年後には大量の離職者が見込まれるとされています。一方で、その離職者を補う若手入職者は不十分で、将来的に建築業界では人手不足が懸念されます。

また、生産性の低さも課題のひとつです。2020年の建築業全体の労働生産性は、4050円となっており、全産業平均の5255円を下回っています。さらに、一級建築士の高齢化や長時間労働など、さまざまな課題が蓄積しており、建築業界ではこれらの課題を解決していかなければなりません。

そこで、国土交通省では、建築BIM加速化事業を実施しています。実際に企業の中には、「建築BIM加速化事業を活用したい」と考えている方や「どのような事業なのかをあらかじめ知りたい」という人もいるのではないでしょうか?

今回は、建築BIM加速化事業の概要や補助額、補助対象経費など申請を検討している企業にとって役立つ情報をご紹介しますので、興味がある方は、ぜひ参考にしてください。


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建築BIM加速化事業とは?

建築BIM加速化事業とは

建築BIM加速化事業とは、建築BIMの社会実装のさらなる加速化により、官民連携のデジタルトランスフォーメーション投資を推進する環境整備を図るために一定の要件を満たす建築物整備プロジェクトにおいて複数の事業者が連携して建築BIMデータを作成する際に、それにかかる設計費及び建築工事費を国が民間事業者等に補助する制度です。事業の窓口は、国土交通省となります。

建築BIM加速化事業を利用するためには、プロジェクトの要件を満たす必要があります。具体的な要件としては、下記の通りです。

・元請事業者等が下請けなどに建築BIMの導入を支援し、建築BIMモデルを作成すること

・建築BIM加速化事業により補助を受けようとするすべての事業者が建築BIM活用事業者宣言を行うこと

・元請事業者などは、建築BIM加速化事業の活用により整備する建築物について維持管理の効率化に寄与するBIMモデルを整備することに対して宣言を行うこと

・整備する建築物は、敷地に接する道路の中心線以内の地区面積が1,000㎡以上であることなどの条件を満たすこと

・プロジェクトに係るすべての建築物は、耐火建築物等または準耐火建築物等であることなど、一定の条件を満たすこと

    建築BIM加速化事業を利用するためには、これらの要件を満たす必要があります。また、建築BIM加速化事業は改修プロジェクトも含まれるため、新しい建物を建築する企業はもちろんのこと、既存の建物を改修するプロジェクトを行う企業も建築BIM加速化事業を利用することが可能です。

    建築BIM加速化事業の補助額

    建築BIM加速化事業の補助限度額は、BIMモデルの構築に必要な費用で尚且つ建築物の延床面積に応じて下記の表に記した金額を超過しない額です。

    延床面積建設費建設工事費
    10,000㎡未満25,000千円40,000千円
    10,000㎡以上30,000㎡未満30,000千円50,000千円
    30,000㎡以上35,000千円55,000千円

    設計費は設計BIMモデル作成費、建設工事費は施工BIMモデル作成費を上限とします。


    また、BIMに関する詳しい内容は、下記の記事でも詳しく紹介しているのでそちらも併せてご覧ください。

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    建築BIM加速化事業の補助対象経費一覧

    補助対象経費一覧

    建築BIM加速化事業の補助対象経費は、大まかにわけて7つあります。それぞれの補助対象経費について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

    BIMソフトウェア利用費

    建築BIM加速化事業では、BIMソフトウェアを利用する際にプロジェクト終了までにかかるBIMソフトウェア利用費が補助されます。BIMソフトウェアだけでなく、アドオンソフトやアドインソフト、ビューワーソフトなどのBIMを利用するために必要となるソフトウェアも補助対象の中に含まれます。しかし、すべてのBIMソフトウェアの利用費が補助されるわけではなく、補助対象となるソフトウェアの条件が設けられているため、自身が利用したいBIMソフトがその条件を満たすかどうかを確認する必要があります。

    また、BIMソフトウェア利用費は、買い切りのBIMソフトウェアだけでなく、サブスクリプションやレンタル契約のものに関しても補助を受けることが可能です。ただし、サブスクリプションやレンタル契約の場合は、代表事業者の登録後に契約したものの利用料が補助対象となるため、代表事業者の登録をする以前のものは補助対象となりません。

    BIMソフトウェア関連費

    建築BIM加速化事業では、BIMソフトウェア利用費に加えてBIMソフトウェア関連費も補助対象に含まれます。具体的には、パソコンの利用料やARゴーグルなどの周辺機器が対象で、プロジェクト終了までの利用料を補助してもらうことができます。

    BIMソフトウェア利用費と同様になりますが、BIMソフトウェア関連費においてもサブスクリプションやレンタル契約で利用する場合、代表事業者の登録後の利用料が補助対象になります。また、パソコンなどBIMソフトウェア関連費は、プロジェクト終了後も使い続けるケースが多いです。この場合、プロジェクト終了時点での残存価値分を控除して補助金を申請する必要があります。

    CDE環境構築費・利用費

    CDE環境構築費・利用費は、BIMデータ当をクラウド上に保存したり、共有したりするために必要なサーバー利用料などのことです。建築BIM加速化事業では、プロジェクトが終了するまでのCDE環境構築費・利用費が補助対象となります。

    BIMコーディネーターの人件費

    建築BIM加速化事業では、BIMコーディネーターの人件費も補助対象です。BIMコーディネーターの人件費とは、BIMを利用するにあたり、BIMソフトウェアの選定やCDEの選定、建築BIMに関する講習など、プロジェクト全体の環境の整備や支援を担う人にかかる人件費がそれに該当します。

    BIMコーディネーターが専任ではない場合、その従事割合に応じて補助対象経費を算出し、申請をします。また、BIMコーディネーターの業務において代表事業者がほかの事業者に委託した場合は、その委託料が補助対象です。

    注意点としては、補助対象となるBIMコーディネーターは原則1名という点です。万が一2名以上を補助対象とする場合は、適切な説明が求められます。

    BIMマネージャーの人件費

    BIMマネージャーの人件費とは、各事業者が作成したBIMモデルの管理など、BIM全体の運営を担う人の人件費のことです。建築BIM加速化事業では、BIMマネージャーの人件費も補助対象に含まれます。

    BIMマネージャーの人件費に関してもBIMコーディネーターと同様に専任とならない場合は、その従事割合に応じて補助対象経費を算出します。また、代表事業者がほかの事業者に委託する場合、各担当者が作成したBIMモデルの統合や干渉チェック、調整・修正などBIMマネージャーの業務のみ補助対象となります。

    BIM講習の実施費用

    建築BIM加速化事業では、BIM講習の実施費用に関しても補助対象経費に含まれます。具体的には、代表事業者が各事業者の従業員に対して建築BIMの利用に関する講習会を実施する際に支払う講師の人件費や会場費、テキスト印刷費、機器レンタル費などです。もちろん、補助対象のプロジェクトで使用しないBIMソフトウェアの講習会に関しては補助対象とならないため、注意するようにしましょう。

    BIMモデラーの人件費

    BIMモデラーの人件費とは、建築BIMモデルの作成や編集を行う人で施工BIMにおいてマネージャーの作業を支援する人の人件費のことです。建築BIM加速化事業では、BIMモデラーの人件費も補助対象に含まれます。

    BIMコーディネーターやBIMマネージャーの人件費と同様に、専任ではない場合、従事割合に応じて補助対象経費を算出する必要があります。また、代表事業者がBIMモデラー業務を委託した場合、その委託料が補助対象となります。

    建築BIM加速化事業の補助金交付までに必要な手続き

    必要な手続きについて

    建築BIM加速化事業を利用して補助金を受け取るためには、手続きを行う必要があります。具体的な手続きの流れは下記の通りです。

    代表事業者の登録

    建築BIM加速化事業に活用を希望する設計事務所や施工業者は代表事業者として建築BIM加速化事業実施支援室に応募をする必要があります。その際に、建築BIM加速化事業の活用を考えているプロジェクトの候補や補助金の見込み額を記載しなければなりません。具体的な応募方法に関しては、下記の令和5~6年度 建築BIM加速化事業実施支援室の公式ページをご確認ください。

    令和5~6年度 建築BIM加速化事業実施支援室:https://r5-6bim-shien.jp/

    交付申請

    代表事業者はjGrantsを利用して電子申請によりプロジェクトに関する情報などを交付申請書に記載する必要があります。また、事業者を追加したり、補助対象経費を変更したりする際は、交付申請の変更手続きを行う必要があります。

    交付決定

    申請後に実施支援室で審査を行い、不備がない場合、交付決定が行われます。交付決定の結果は、各事業者に通知されます。

    実績報告及び額の確定

    事業の終了後にBIMモデルの作成状況や補助対象経費などの実績についてjGrantsを利用した電子申請によって実施支援室に報告します。この実績報告を実施支援室で審査し、承認されると交付する補助金額を確定し、支払いの手続きが行われます。

    まとめ

    今回は、建築BIM加速化事業の概要や補助額、補助対象経費などについて詳しく解説しました。建築BIM加速化事業を利用することで、BIMソフトウェア利用費などを国から支援してもらうことができるので、設計事務所や施工業者は大幅なコストカットを実現することができます。しかし、建築BIM加速化事業を利用するためには交付決定を受けて実績報告の審査後に実施支援室が適合すると認めなければなりません。つまり、しっかりと手続きを行う必要があります。実際に、企業の中には手続きが複雑と感じるところも多いのではないでしょうか?

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