基板設計CADは、プリント基板の設計を、コンピュータを使用して行うためのソフトウェアです。電子部品を搭載したプリント基板の設計には欠かせないソフトウェアとなっており、スマートフォンやテレビ、自動車、航空機、医療機器などの製品にも必ずと言っていいほど使用されています。
そんな人々の生活になくてはならない製品等の開発に使用される基板設計CADですが、今回は導入を検討されている方向けに、概要からCADを導入するメリット、選び方から補助金を使って安く導入する方法まで紹介します。
基板設計CADの導入に興味がある方向けの内容となっているので、導入で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
CADジャンクションでは、IT導入補助金を活用した導入支援を行っています。補助金で初期費用が50%オフに。申請手続きから採択後の実績報告まですべてサポートいたします。初回相談は無料です。
基板設計CADとは?
基板設計CADとは、簡単に説明するとデータ上にプリント基板に部品を配置し、パターンワークするためのソフトウェアです。
通常、プリント基板を製造してもらうためには、プリント基板の製造会社に依頼する前に、基板レイアウトのデータを作成する必要があります。
プリント基板は非常に細かな図面となるため、手作業で設計していくのは現実的ではありません。
しかし、基板設計CADがあれば、細かな作業でもコンピュータを用いて設計できるため、手書きに比べて効率的に基板設計ができるのです。
CADには幅広い種類がありますが、その中でも基板設計CADと呼ばれるものは下記のような機能が含まれているので参考にしてください。
- 回路図の作成
- PCBレイアウトの設計
- 信号整合性と電力整合性の解析
- 自動配線(オートルーティング)
- 設計ルールチェック(DRC)
- ガーバーデータの生成等
基板設計CADを導入するメリット
ここまで基板設計CADの概要について紹介しましたが、具体的に導入することで得られるメリットはどういった点があげられるのでしょうか。
ここでは3つのメリットについて紹介します。
設計の効率化につながる
現在、電化製品と呼ばれるものには必ずと言っていいほど回路図が搭載されています。そして、その回路図も1パターンだけではなく製品によって異なるため、一つひとつを手作業で描いていては効率が悪くなります。
そこで基板設計CADを活用すれば、多層的な基盤への対応が容易になり、時間も大幅に短縮できます。電化製品等の生産性向上に大きく貢献できるため、回路図の作成が必要になる業界の多くで基板設計CADは導入されています。
スムーズにデータ共有ができる
基板設計CADを導入することで、データ共有もこれまで以上にスムーズに行えるメリットがあります。
そもそも回路図は複雑な設計がされていますが、その上手作業で描くとなると、人によって描き方も異なるため複雑さが増します。一方、基板設計CADならどのような設計者が作成しても仕上がりが同じになり、見やすくなるメリットがあります。
また、作成した回路図はそのままデータ化することができるため、手書きに比べると共有も楽になります。簡単にデータ共有できることで設計の工程を少しでも減らせるため、設計者の負担軽減につなげられるのです。
シミュレーションが楽になる
基板設計CADを活用することで、既に回路図はデータ化されているため、シミュレーションも楽に行えるメリットがあります。
例えば手書きで回路図を設計した場合、想定通り動作するかを確かめるには実際に製品を作成して試す必要があります。万が一動作しなかった場合は、何度も作り直して試行錯誤しなければならないなど手間がかかります。
一方、基板設計CADなら製品を作成しなくてもコンピュータ上でシミュレーションができるため、手書きに比べて大幅に時間や手間やコストを削減できるのです。
おすすめの基板設計CAD3選
基板設計が行えるCADは、できる限り専用のものを使用することがおすすめです。ここではその中でもおすすめの基板設計CADを3選紹介しますので参考にしてください。
CADの値段や選定ポイントについては以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
CADは、設計作業を効率的に進めるためになくてはならないソフトです。CADには2D、3Dがあり、その中でも3DCADは立体モデルを用いて高度な設計が可能になるため、幅広い業界で活用されています。 これからCADソフトの導入を検討され[…]
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SOLIDWORKS
公式サイト:https://www.solidworks.com/ja
SOLIDWORKSには幅広い機能が備わったCADソフトがラインナップとしてあります。その中の下記2つのラインナップについては、基板設計に対応しています。
・SOLIDWORKS PCB
・CircuitWorks
SOLIDWORKS PCBは、Altiumとのコラボレーションにより開発された専門のPCB設計ツールです。電子設計者と機械設計者間での設計データのシームレスな交換が可能になり、設計プロセスの効率化が図れます。機能としては回路図の作成、PCBレイアウトの設計、および設計検証ツールなどがあります。
また、CircuitWorksは、SOLIDWORKSに組み込まれているアドオンで、ECAD(電子CAD)データをSOLIDWORKSの3Dモデルに変換することを可能にするソフトウェアです。3D空間で扱えるようになるため、2Dでの設計に比べて製品設計の精度向上と効率化につながります。
それぞれ機能や用途が異なるため、導入を考えている方は公式サイト等もチェックしながら検討してみてください。
Autodesk(EAGLE)
公式サイト:
https://www.autodesk.co.jp/products/eagle/overview?term=1-YEAR&tab=subscription
AutodeskのEAGLEは、「Easily Applicable Graphical Layout Editor」の略で、プリント基板の設計に必要な機能に特化して開発された基板設計CADです。
Autodesk(EAGLE)は、電子工学者やデザイナーが回路図を作成し、PCBレイアウトを設計して製造データを生成するために広く使用されています。
基板設計CADには幅広い種類がありますが、その中でもAutodesk(EAGLE)は、操作性の高さと柔軟性から初心者からプロの設計者までが愛用するソフトウェアです。
設計において特に操作性は重要になるため、使いやすさを重視したいならAutodesk(EAGLE)の活用を検討してみてください。
OrCAD Capture
公式サイト:https://www.innotech.co.jp/products/orcad/
OrCAD Captureは、Cadence Design Systemsによって提供されている基板設計CADであり、主に回路図の作成と回路設計の管理に使用されています。
上記の用途にもあるように、プリント基板設計プロジェクトにおける初期段階、つまり回路図の作成や部品リストの生成に特化しているため、これらの業務に関わる方にとって使い勝手の良い基板設計CADと言えるでしょう。
また、下記の通りあらゆるニーズに合わせた製品ラインナップがありますので、詳しくは公式サイト等をチェックしてみてください。
・OrCAD Capture(回路図作成)
・OrCAD Capture CIS(回路図作成)
・OrCAD PSpice Designer / Plus(回路解析)
・OrCAD PCB Designer(基板設計)
・OrCAD PCB Productivity Toolbox(基板設計)
・OrCAD PCB SI(基板解析)
・OrCAD Sigrity ERC(基板解析)
・OrCAD Documentation Editor(基板製造支援)
・OrCAD DFM Checker(基板製造支援)
・OrCAD Library Builder(ライブラリ作成)
・Model On! (ライブラリ作成)
・OrCAD Engineering Data Management(設計データ管理)
・OrCAD Component Information Portal(設計データ管理)
基板設計CADの選び方
基板設計CADを選ぶ際には、重要なポイントが大きく分けて3つあります。導入後に後悔しないためにも大切なポイントになるため、ぜひ参考にしてください。
コスト
基板設計CADには、大きく分けて無料で使用できるものと有料の2種類あります。まずは両者のどちらかで悩むかと思いますが、全体的に見ても充実しているのは有料の基板設計CADです。
そのため、企業が導入するような本格的な基板設計CADには、有料のタイプを選ぶことをおすすめします。
しかし、有料版はコスト等も気になるでしょう。CADソフトは高額であることが多いため、予算が足りないケースも出てくるかと思います。
このようなケースでも対応できる方法の一つとしては補助金の活用があげられます。補助金を活用することで通常より半額の価格で導入できるため、無料版を選ぶよりも有料版を選び、できる限りコストを抑えた導入方法の方が後々後悔することは少なくなるのでおすすめです。
補助金の内容については後述していますので、そちらをチェックしてみてください。
性能・使いやすさ
基板設計CADと呼ばれるものにも、製品によって使える機能が異なるケースがあります。そのため、選ぶ際には設計業務に必要な機能が備わっているかも重視しなければなりません。
また、どれだけ性能が良くても、複雑なUI/UXで使いづらいと感じてしまっては定着しない可能性が高いです。そのため、UI/UXが優れて使いやすいかどうかもチェックしておきたいポイントとなります。
性能や使いやすさをチェックするには、事前に無料で試せるデモ画面等にも対応している基板設計CADがおすすめです。事前に試せることで性能や使いやすさはチェックできるため、導入後に後悔するリスクを減らせます。
サポートの有無
基板設計CADを初めて導入するケースでは、できる限りサポートが充実しているソフトウェアを選ぶことがおすすめです。
特に無料のソフトはサポート等に一切対応していないこともあるので、使いづらく逆に効率が悪いと感じてしまうこともあります。
また、有料版でもサポート範囲等が異なるケースもあるので、選ぶ際にはどこまでサポートが対応しているかもチェックしておきましょう。
基板設計CAD を安く導入!補助金を活用しよう
基板設計CADは便利である反面、高額であるのがデメリットとしてあげられます。実際に性能等に優れている基板設計CADは、数十万円から百万円程度かかるものまであります。
このような背景があるため導入をためらうケースもあるかと思いますが、大幅に導入コストを抑える方法があります。それが「IT導入補助金」の活用です。
IT導入補助金はCADの導入も補助対象に含まれており、通常枠では通常価格よりも50%安く導入できるのです。
つまり、100万円の基板設計CADであれば、50万円で導入できる計算となるため、大幅にコストを抑えることができます。
補助金は申請手続き等が複雑ですが、それについても申請代行サポートに対応している専門家に依頼することで、手間をかけずに申請できます。
IT導入補助金は2024年も継続することが決定していますので、基板設計CADの導入を検討されている方は、この機会にぜひ活用してください。
IT導入補助金を利用したCADの導入方法につきましては、以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
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まとめ
今回は基板設計CADの概要から導入メリット、選び方まで幅広く紹介しました。特にプリント基板等の設計を担当する方にとってなくてはならないソフトウェアとなるため、効率化を目指したい、専用CADを導入したいと考えている方は、基板設計CADを検討してください。
また、基板設計CADは、補助金を活用することで安く導入できます。CADジャンクションではIT導入補助金を活用した基板設計CADの導入支援を行っています。自社に合うソフトウェアの提案はもちろんのこと、補助金の申請からソフトウェアの導入まで一貫してサポートさせていただきますので、CADや補助金に関するご相談はCADジャンクションにお任せください。
補助金を活用することで通常の半額でCADを導入することができます。CADジャンクションでは、IT導入補助金の申請手続き、導入支援、採択後の実績報告といった面倒な手続きを一括してお引き受けしております。