自動車や航空、宇宙、建設まで、ものづくりの設計で必要となっているのが3次元CADに関するスキルです。
紙の設計からの脱却が始まっている今、CADに関するスキルを身に着けたいと考えている人は多いでしょう。
CADのスキルを証明するためには資格の取得が近道ですが、せっかくなら認知度の高い有名な資格の取得を目指している方が多いのではないでしょうか。
今回はCADに関する資格の中でも認知度が高く、累計58万人が受験している「3次元CAD利用技術者試験」について詳しく解説します。
3次元CADに関するスキルを身に着けるために資格の取得を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
CADジャンクションでは補助金の知識を熟知した専門家が、IT導入補助金を用いたCADの導入支援を行っています。個人で補助金へ申請する場合と比べても採択率をアップさせることができ、効率よく申請ができますので、特に初めて補助金の活用を検討されている方は、CADジャンクションの導入支援の活用を検討してください。
3次元CAD利用技術者試験とは
3次元CAD利用技術者試験公式HP:https://www.acsp.jp/cad/3d.html
「3次元CAD利用技術者試験」とは、3次元CADを利用するエンジニアなどが身につけておくべき知識と技能が証明できる3次元CAD試験制度です。
一般社団法人コンピュータソフトウェア協会が主催している試験の一つとなり、CADシステム全般に関する知識や、建築や機械の分野で作図能力やトレース能力などを問われます。
CAD試験には他にも「建築CAD検定試験」等がありますが、これらは実技のみであり、筆記試験はありません。
しかし「3次元CAD利用技術者試験」には、実技だけではなく筆記試験もあり、CADに関する専門的な知識が必要になります。
CAD試験の中でも認知度が高く、現在では累計50万人が受験しています。有名な資格試験なので、CADに携わる方であれば取得して損はないと言われています。
3次元CAD利用技術者試験には全部で3つの試験がある
3次元CAD利用技術者試験には下記3つの試験が用意されています。
・1級
・準1級
・2級
3つの試験の詳細については、下記の表でも詳しく紹介しているのでチェックしてください。
1級 | 準1級 | 2級 | |
受験対象者 | 3次元CADシステムを利用した機械系・製造系のモデリング・設計・製図などの業務に従事して半年以上の実務経験、または1年以上の就学経験を有する方を想定して試験を行います。3次元CADシステムが操作できるだけではなく、3次元設計の補助業務を担い、将来、設計者やオペレーターの管理業務を目指す方が対象。 | 3次元CADシステムを利用した機械系・製造系のモデリング・設計・製図などの業務に従事することを目指す方、もしくは従事して間もない方を想定して試験を行います。3次元CADを学び、知識と操作の基礎的な部分を習得し、設計の補助業務やオペレーターを目指す方が対象。 | 3次元CADシステムを利用した機械系・製造系のモデリング・設計・製図などの業務に従事することを目指す方、および3次元CADシステムの周辺業務に従事している方を想定して試験を行います。準1級、1級へのステップアップとしてだけではなく、関連製品の管理、営業等を担当されている方も対象。 |
初めに挑戦できるのは2級から
3次元CAD利用技術者試験には3つの試験が用意されていますが、初めから1級に挑戦することはできません。
受験資格があるため、準1級もしくは1級の資格を取得するためには2級に合格することが必須条件となります。
2級の受験資格には制限がありませんので、初めて挑戦される方は2級から申し込みをしましょう。
受験資格に関して詳しい内容は下記でも紹介しているので参考にしてください。
・2級:制限なく誰でも受験が可能
・準1級:2級有資格者のみ受験が可能
・1級:2級または準1級有資格者のみ受験が可能
試験分野
3次元CAD利用技術者試験は、主に試験実施年度版の公式ガイドブックより出題されています。そのため、受験を検討している方は、まず公式サイトで販売されている公式ガイドブックを購入することをおすすめします。
公式販売サイトについては下記に紹介しているので、そちらを参考にしてください。
主催試験ガイドブック:https://www.acsp.jp/ACSP_books.html
また、公式サイトでは出題される試験分野について詳細な情報が掲載されています。2級~1級まで下記表の分野が出題されるので、そちらも参考にしてください。
1級 | 準1級 | 2級 | |
試験分野 | ・CADリテラシー、形状認識能力・アセンブリモデリング能力・2次元図面からのパーツモデリング能力 | ・CADリテラシー、形状認識能力・2次元図面からのパーツモデリング能力 | ・3次元CADの概念・3次元CADの機能と実用的モデリング手法・3次元CADデータの管理と周辺知識・3次元CADデータの活用 |
試験時間
3次元CAD利用技術者試験の試験時間は、2級と準1級・1級で異なります。簡単に説明すると、2級は60分間の筆記試験のみとなり、準1級と1級に関しては120分間の実技試験となります。
詳しくは下記の表でも紹介しているので、そちらもご覧ください。
1級 | 準1級 | 2級 | |
試験時間 | 120分 10:00~12:00/13:30~15:30※試験開始より60分経過後から終了10分前までの間に、解答用紙、試験問題、受験票を提出すれば退出が可能(ただし一度退出すると再入室不可)※試験時間帯は地域によって異なることがあります。必ず申し込み画面にて確認してください。 | 60分 |
試験方法
3次元CAD利用技術者試験の試験方法は、準1級と1級が実技試験となりますので、実際に3次元CADソフトを使用してモデリングを行います。
2級に関しては筆記試験のみとなっており、CBTシステムによる多肢選択方式です。詳しくは下記の表でも記載しているので、そちらも参考にしてください。
1級 | 準1級 | 2級 | |
試験方法 | ・3次元CADソフトを使用したモデリング(パーツおよびアセンブリ)・作成したモデルの体積、表面積などを測定し、解答群の中からもっとも近い値を選択し、マークシートに記入。 | ・3次元CADソフトを使用したモデリング(パーツのみ)・作成したモデルの体積、表面積などを測定し、解答群の中からもっとも近い値を選択し、マークシートに記入。 | ・CBTシステムによる多肢選択方式 |
試験で活用できる推奨ソフト
3次元CAD利用技術者試験は、準1級と1級については実技試験となります。CADソフトが必須となりますので、受験を検討されている方は推奨されているソフトを用意するようにしましょう。
下記が条件を満たす推奨ソフトとなるので、これから用意される方は参考にしてください。
【3次元CAD利用技術者試験使用推奨ソフト】
・Alibre Design
・CADmeister
・CATIA V5
・Cimatron
・Creo Elements/Direct (旧CoCreate)
・Creo Parametric (旧Pro/ENGINEER WF)
・DesignSpark Mechanical
・Fusion 360
・iCAD MX
・iCAD SX
・Inventor
・NX
・Shade3D Professional(Ver.18以降)
・SOLIDWORKS
・SQ CAD(旧図脳CAD3D)
・ThinkDesign
・Vectorworksシリーズ(バージョン2009以降/準1級のみ)
これらのCADソフトはIT導入補助金を活用して安く導入できる場合があります。詳しくは下の記事を参照してください。
日本ではさまざまな業界でITツールの導入が進んでいます。ITツールを導入することで、これまでよりも業務効率化を図れたり、生産性向上につながったりと幅広いメリットが得られます。 ITツールといってもさまざまな種類がありますが、その中で[…]
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合格基準と直近の合格率
3次元CAD利用技術者試験の高額基準は、「各分野5割以上、および総合7割以上の正解で合格」と記載されています。
高額基準だけ見ても、どの程度難しいものなのかよくわからない方が多いでしょう。難易度についてわかりやすく説明するため、下記では直近の合格率も紹介していますので、そちらも参考にしてください。
【3次元CAD利用技術者試験 2級】
応募者数 | 受験者数 | 合格者 | 合格率 | |
2022年 | 2,704 | 2,611 | 1,714 | 65.64% |
2021年 | 3,134 | 3,017 | 1,348 | 44.68% |
【3次元CAD利用技術者試験 準1級】
応募者数 | 受験者数 | 合格者 | 合格率 | |
2023年前期 | 229 | 214 | 150 | 70.09% |
2022年後期 | 396 | 371 | 228 | 61.46% |
【3次元CAD利用技術者試験 1級】
応募者数 | 受験者数 | 合格者 | 合格率 | |
2023年前期 | 231 | 216 | 76 | 35.19% |
2022年後期 | 209 | 198 | 50 | 25.25% |
上記が2級~1級までの直近の合格率となっています。
この中であれば2級が3次元CAD利用技術者試験の中で下位の資格となっていますが、合格率を見てもわかる通り、それほど高いものではありません。
やはり実技ではなく筆記ということもあって、2級でも多くの方が苦労されている印象です。
逆に準1級に関しては、毎年合格率が高い数値となっていますので、2級の筆記試験に合格できれば準1級にも問題なく合格できる可能性が高いでしょう。
最後に1級ですが、合格率は20%~30%前後と難易度は高い印象です。合格者も数十名程度となっているため、合格のためにはより深い専門知識を習得する必要があります。
3次元CAD利用技術者試験はどんな人におすすめ?
3次元CAD利用技術者試験は、3次元CADに関する専門知識を習得していないと合格することが難しい資格試験です。
そんな難易度が高い3次元CAD利用技術者試験ですが、そもそもどんな人に受験するとメリットがあるのでしょうか。
ここでは3次元CAD利用技術者試験をおすすめなする人について紹介します。
受験をした方がいいのか悩んでいる方は参考にしてください。
自分自身のスキルを証明したい人
すでにCADを実務で活用しており、現在自分にはどの程度のスキルがあるのか知りたい方におすすめなのが3次元CAD利用技術者試験です。
受験することで正解できたこと、逆にできなかったところが明確になるため、自分の強みや弱みを把握できるようになります。
特に正解できなかったところは、今後磨いていくことでできるようになるため、自分自身の成長にもつながります。
自分自身のスキルがどの程度あるのか証明したい人は、3次元CAD利用技術者試験の受験を検討してみてください。
設計の仕事に携わりたい人
これまでCADに触れたことがない方でも、今後CADを使った設計関連の仕事に就きたいと考えているなら受験する価値はあるでしょう。
3次元CAD利用技術者試験の資格を取得していれば、就職や転職でどのくらいCADに詳しいかなど資格で証明することができます。
また、個人事業主として活躍していきたい人も、仕事を受注する際の強みとして資格を活かせるため、取得して損はないでしょう。
3次元CAD利用技術者試験は最も認知度の高い資格となるので、CAD関連の仕事に携わりたいと考えている方は、取得について検討してみてください。
まとめ
今回は3次元CAD利用技術者試験の内容について詳しく解説しました。試験には2級、準1級、1級の3種類があり、資格を取得できればエンジニアが身に着けておくべき知識と技能を証明することができます。
3次元CAD利用技術者試験は、学生はもちろん現在CADを取り扱いながら仕事をしている人たちにも人気の高い資格試験となっているので、興味がある方はぜひ挑戦してみてください。
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